君に届く音（JW紫×青） (ページ2)

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でも、やっぱり限界はとっくに超えとったらしい。

朝起きると感じた違和感。

喉の奥につっかかりがあるような。

その正体に気付いたのは、家を出る直前やった。

いつものように、誰もいない部屋に“行ってきます”と声をかけようとしたとき、

「……っ？」

喉が開かない。そんな感覚やった。

…声が、出なかった。

何度試しても喉からは音が出ず、ただ口をパクパクと開けることしかできなくて。

初めに感じたのは

喋れなくなる不安ではなく、歌えないことへの恐怖。

どんなにストレスが溜まっても、どんなに辛い環境に居っても、声があればいつかは歌える。

あいつに音を届けられる。

あいつが、流星が好きだと言ってくれたこの歌声が、もう二度と出せなくなるのは嫌やった。

大学を卒業してからはほとんど会えへんかったけど、それでもずっと俺の心の支えやったから。

とりあえず職場にメールを入れ、人生で初めての当日欠勤。

上司からの嫌味のこもった返信には目を向けず、ある場所目指して家を出た。

向かった先は、精神科。

声が出ない原因なんて、自分でもわかっとったから。