忘れた記憶【青】 (ページ4)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:8,640 hit

#4 ページ4

…

安「……記憶、喪失？」

丸「うん。1ヶ月くらい前にこの病院に来て

名前も、家も分からへんって。」

安「……Aが。」

『…』

その後、私の退院手続きが始まる。

丸「僕がやっとくから、ヤスと話しとき？

なんか思い出せるかもしれへんやん？」

という先生の気回しでベッドの上横に並んで座る。

安「……俺のことわからへんのやんね？」

『…うん。わかんない。』

安「ふふ、自己紹介します。

安田章大です。A…貴方の彼氏、だった男です」

『……？だった？』

安「うん。急にフラれてな、理由も聞いてないし俺は別れる気ないから口説きに来ました。」

『ふふ、なんですかそれ』

安「うん。変やけど、やっぱり俺はAとずっと一緒に、Aの隣におりたいねん。」

手を優しく掴まれて、目が合って思わずドキッとした。

でも、私が別れを切り出した理由もわからないし、そもそもこの人と付き合ってたかどうかすらわからない。

『…あの、私の事もっと教えて貰ってもいいですか？』

この人を信じていいのかわからないけど、

少しでも思い出せるなら……

この人を信じてみたいとそう思った。

安田さんは少しだけ驚いたような顔をしたけどすぐに眉毛を八の字にして

安「うん、ゆっくり思い出していこな？」

と言った。

…