僕のｵﾖﾒさん (ページ16)

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④

Aside

ここ2ヶ月、丸山くん……いやいや、

隆平からの連絡が無い。

メッセージを送っても、返ってこないどころか既読すらつかないし、

連絡を入れても、いつも通話中。

最初はたまたまだろうって思ってたんだけど、

最近じゃ、浮気でもされてるんじゃないかって疑ってしまっている。

そんなわけない。

でも確かめるのも怖い。

だから、仕事をいっぱいしてその間だけでも忘れられるように……って頑張ってきたんだけど、

愛想つかされた……のかな…………

よくよく考えてみれば、国民的アイドルの丸山隆平と

一般ピーポーの女が付き合うとか普通に考えてありえない話じゃないか。

『夢……やったんかな』

夢でもいいからもう1回会いたいなぁ。

まだ冷える朝。

ベッドの上にはもう、隆平の匂いはない。

もうどこにも……ない。

隆平の形跡…

『……全部、妄想……？』

しっくり来てしまう想像、頭を振って脳内から追い出してから、

メッセージ欄の【隆平】の文字をなぞる。

１コール

2コール

……

…

.

でない。

『……よし、』

誰もいない部屋にいってきます。と一言置いて

扉の外へ。

外気の冷たさは春とは思えない。

背筋が一気に凍りつく。

はぁと吐く息が白くはならないけど、

鼻の先が凍りそうなほど冷たくなる。

玄関を閉じて1階に、

車で出る日だったら気づかないような所に、

蹲るひとつの影。

その影は、顔を上げる。

『うそ、、りゅ、へぇ…………』

その男は、私を見るなりグッと眉間にシワを寄せて
また俯いた。

『何してるの？』

風邪ひいちゃう、と手を伸ばした。

その手は、あっという間掴まれて

彼の方に引き寄せられる。

丸「……会いたかった」

…