偽装女子②【iwsk】 (ページ2)

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夜ページ2

桃side

夜、やっぱりそういう雰囲気になったけど俺が軽く拒否ればキスだけで終わった。

この身体じゃなかったらこんな風に照に我慢させることも悲しませることもなかったのに。

桃「ごめん、ごめんね…照…」

照を起こさないようにベッドから抜け出してなんとなくベランダに出た。

すると夜風が吹いてウィッグの髪を揺らす。
偽物の長い髪。

照はいつも綺麗だねって褒めてくれたけどその度にこんな偽物の髪が綺麗なわけないって泣きそうになった。

桃「いっそ女になれたら…」

男としての自分が嫌なわけじゃない。
女の子への憧れがある訳でもない。

ただ照と一緒に居たい、それだけなんだ。

"佐久間大子"になれるなら"佐久間大介"という存在がなくなってもいい。

そんな馬鹿なことさえ本気で思った。

愛する人に嘘をつき続けることが苦しくて、でも嘘をつかないと傍には居られない。

なんでこんなことになったんだろう。

こんなことになるくらいなら初めから出会わなければ良かったのかな…？

桃「好きなのにっ…大好きなのに…！！」

照が起きてきたらどうしようとか思うけど溢れ出した涙を止めることは出来なくて必死に声を押し殺して泣き続けた。

何も考えずにただ気持ちのまま好きと言い合ってキスをして、愛し合って、ごく普通の恋人同士になれれば良かったのに。

こんなにも普通が遠いなんて知らなかったよ…。