誰より優しいキミだから②【iwfk】 (ページ11)

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差別ページ11

紫side

照が自分の家に帰ると言った。

怪我も治って仕事を再開する。
そのタイミングで照が自分の家に帰るのは極自然な流れだと思う。

それなのに俺はこんなにも帰って欲しくないなんて…。

黄「今まで迷惑かけてごめん」

そう言って俺から離れていく照があの日の照と重なったんだ。
照の狼の姿を初めて見たあの日の照と。

紫「照、ずっとここに居て。
いや、絶対に居てもらう」

もうあんな寂しそうな目をした照なんて見たくない。
照の背中に抱きついて逃がさないというように力を込めた。

黄「ふっか、離して…」

紫「嫌だ」

照は弱々しく突き放すような言葉を放つけどそれが本心じゃないことは誰が見たって分かると思う。

黄「お願い、じゃないと俺っ…」

ねえ照、照は何にそんなに怯えてるの？

俺がどうこう出来るようなことなのかは分からない。
分からないけど、それでも好きな人のために精一杯頑張りたいって思うから。

だから、照の沢山抱えてる不安とか恐怖とか全部俺に教えて欲しい。

紫「もう一人でなんでも抱え込まなくていいんだよ。
俺が居るから。俺が照の不安も恐怖も、孤独も全部一緒に持てるように頑張るから」

黄「ダメ、ダメなんだよっ…そんなの…」

紫「何がダメなの…？
みんなそうやって助け合っていくんだよ」

照「俺は、人間じゃない…みんなとは違う…」

照が静かに言った言葉があまりにも悲しくて俺は気づけば照の頬を叩いていた。

照「ふっか…？」

急に叩かれて呆然とする照を力の限り抱きしめる。

身体だけじゃなくて心も全部。
照の全部を抱きしめたい。

紫「自分で自分を差別するな！！」

黄「なに、言って…」

紫「確かにみんなと違うかもしれない。
でもそれは照だけじゃなくて俺だってそうだ」

そう、誰一人同じ人なんて居ない。
それはもちろん人間だけじゃなくてどの生き物だってそう。

紫「照はみんなと違って狼になれる。だけどそれだけ。
狼になれる、ただそれだけなの。

人より歌やダンスが上手かったり、走るのが速かったり遅かったり、それと同じ」

多分、いや間違いなくこれは暴論だ。
それとこれとは全く違うと言われたらそれまでだと思う。

だけど少なくとも俺の中ではそれくらいの認識なんだ。