縛って、解いて、結んで。【mmkj】 (ページ45)

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スープページ45

橙side

何とか起き上がれるようになって１週間ぶりのまともな食事をとる。

舘さんが作ってくれた具だくさんのスープ。
いつもしょっぴーのヒート開けに作ってあげてるんやって。

あったかくて優しくて身体に染み込んでいくみたいなスープ。

しょっぴーはいいなあ…。

ずっと好きな人とヒートを過ごせてヒートが開ければこんなに美味しいご飯を食べさせて貰えるんやもん。

橙「っ…ぐすっ……」

俺にはもう一生届くことのない幸せが羨ましくて辛くて苦しくなって、せっかくのスープもこれ以上は食べる気になれへんかった。

橙「りゅーた、くん…」

どんどん薄れていく記憶の中の龍太くんを追い続ける大好きで大嫌いな時間。

紫「康二、もう食べないの…？」

しばらくして様子を見に来たふっかさんに聞かれたけど布団に潜って無視をした。

散々迷惑をかけといてこんな態度最悪やって分かってるけど今は誰とも話したくない。

黒「康二…」

ふっかさんが「ゆっくり休めよ」って言ってスープを下げてくれたあと今度は別の人の声が聞こえた。

絶対に聞きたくない声やのに本能が嫌でも反応する。

橙「嫌っ…来んといて…！！」

近づいてくる気配がして精一杯の拒絶した。

撫でて、抱きしめて、名前を呼んで。
本能が運命を感じて俺の気持ちと正反対の主張をする。

自分自身のバランスがどんどんと崩れていく。

それが怖くて、もし触れられてしまえば本能に飲み込まれそうな気がしてめめの存在がどうしようもなく愛おしくて怖かった。