縛って、解いて、結んで。【mmkj】 (ページ21)

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事故ページ21

黒side

丈「康二がオメガなんは知ってるよな？」

紫「知ってる」

丈「康二には、番になろうと約束してた婚約者がおってん」

康二に番を約束した婚約者が居たことを知って胸がズキズキと痛んだ。

アルファの本能が醜い独占欲を主張してくるのを抑え込みながら話の続きに耳を傾ける。

丈「もうすぐ番になって結婚するんやって毎日のように指輪眺めながら話して、あの頃の康二はずっと笑っててほんまにに幸せそうやった」

そこまで話すと丈くんは一呼吸置いてから「俺も直接聞いた訳やないけど間違ってはないはずやから…」と言って続きを話し始めた。

丈「その婚約者が亡くなってん」

今まで康二から婚約者の話を聞いたことがなかったり丈くんの話す雰囲気とかでなんとなくそうなんじゃないかって思ってはいたけどいざ話されるとやはり動揺してしまう。

緑「そんな…」

青「まじか…」

紫「なんで、婚約者は亡くなったの…？」

丈「詳しいことは知らんけど車との事故で亡くなったらしい」

一緒に幸せになろうと誓った相手がある日突然居なくなるってどんな気持ちだろう。

俺がもしそんなことになったらきっと想像しただけじゃとても分かりきれないくらいの悲しみに打ちひしがれて一気に地獄の淵へ叩き落とされたような絶望を感じると思う、

丈「いきなり仕事にこんくなって、やっと来たと思ったら憔悴しきってて一個も笑わんくなってた」

無理もない。
婚約者を亡くしたんだから笑いたくても笑えないだろう。

丈「周りもめっちゃ心配してご飯誘ったりもしてたんやけど立ち直るのと同時にどんどん周りを遠ざけるようになってん」

衝撃を受けるのとなんで俺が拒絶されているのかを知れて少しだけスッキリもした。

そりゃ番は作る気ないっていうよなって思うのと同時に康二の心の中に居続ける婚約者の存在の大きさに頭を抱えた。