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青side
今日は涼太より先に帰ってきたけど仕事の間に爪とぎもトイレもケージもベッドも全部全部アイツに匂いをつけられてた。
今から自分の匂いに変える気にはなれなくて人間の姿のまま涼太のベッドに潜り込む。
今日忙しかったから猫の姿になっとかないと明日あたり調子悪くなりそうなんだけどな…。
赤「ただいま」
いつからかお出迎えもしなくなった。
俺より先にアイツを抱き上げる涼太のことを見たくなくて…。
青「にゃー…」
人間の姿で鳴いてみたけど誰も来てくれなくて、それが涼太と離れていた日々を思い出させて涙が出てきた。
また色がないあの世界に戻っちゃうのかな…。
赤「翔太」
涼太が来てくれて嬉しいのに猫の時ほどではないけどイラついて抱きつきたいのに抱きつけない。
赤「翔太、そのままでいいから聞いて?」
涼太はベッドに腰掛けて俺を布団の上から撫でながら話し始めた。
赤「俺、あの子のことばかりで翔太のこと見れてなかったよね…」
そうだよ、涼太はいつもアイツばっかり…。
赤「このこともメイクさんに言われて初めて気づいたんだ。こんなんじゃ飼い主失格だね…」
そうだ飼い主失格だ、このダメ飼い主!!
…だけど、それでも俺は涼太がいいんだもん。
赤「猫の世界がどんなものか分からないのに翔太のことちゃんと守ってあげられてなかったね、本当にごめんっ…」
涼太、泣いてる…?
猫の姿になって布団からそっと顔を覗かせると涙を流しながら俺を見つめる涼太がいた。
赤「翔太、こんなダメな飼い主だけどこれからも一緒に居てくれる…?」
涼太が不安そうに聞いてくるから一緒に居るよって意味も込めて涙をペロッと舐めたら優しく抱きしめられた。
青「にゃー…」
赤「やっと、触らせてくれたねっ…」
青「にゃー、にゃー…」
涼太こそやっと答えてくれた。
俺、ずっと涼太のこと呼んでたんだよ…?
青「グルルルル…」
赤「ふふっ、可愛いね翔太」
泣きながらそう言って微笑む涼太。
しょうがないから今回だけ許してあげる。
次はないからな。
なんて心の中で言いながら久しぶりの涼太の温もりに擦り寄った。
Fin.
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作者名:湖蝶 | 作成日時:2021年11月15日 3時