二十五頁目 ページ27
玄関ホールに戻ってきて扉に手を掛けた瞬間。
カランという金属製の物が落ちる音と視線を感じた。品定めをするかのように舐め回すような気味の悪い感覚。
見られている。背後に何かがいる。
勝手に侵入した事がバレた事により額には冷や汗が滲む。
この瞬間私の頭には1つの単語が浮かんだ。
「ハンター」
荘園の主の住居かと思っていたが、もしやハンター用の館だったのではないか？
その思考に私の体は心拍数を上げる。
しかし私の頭は相反するように冷静だ。
「今振り向けばハンターが分かる」そう思った。今までに一度も姿を見せていないハンターだ、私が見れれば貴重な情報を手に入れられた事になる。
意を決してなけなしの勇気を振り絞り勢いよく背後を見る。
そこには、木の枝が互いに絡み合っているような掌サイズの生き物がいた。
その生き物は体の中心にギョロリとした1つの目玉を持ち、それを頻りにこちらへ向け体を揺らしている。そしてその隣にはずっと探していたナイフの刃。嬉しさから私は思わずナイフに駆け寄る。
張り詰めていた空気はだいぶ緩んだ。
しかしこの生き物に見られていると何もかもが見透かされている気になり、あまりいい気分にはならない。
とりあえずナイフをポケットにしまって目の前の生き物を調べる。
持ち上げようと掴んで見るが床に根を張り引っ付いていて剥がれない。
床に根？これはもしかして先ほど読んだ監視者という生き物ではないだろうか。
気味の悪い生物という事を思い出し反射的に手を離す。
離した瞬間私はそれよりも重要な事に気付いてしまった。緩んだ空気は再び私に牙を剥き、私はそれに耐えきれずすぐさまに部屋から逃げ出した。
背後に残された部屋で「ギュウ」と生き物が死ぬ音だけが部屋に響いた。
誰もいない部屋で一体誰が私の背後に監視者を置いたと言うのだろうか？
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野菜 - 感想ありがとうございます！こんな褒められると思ってなかったので嬉しい限りです。引き続き頑張りますので是非たのしみにお待ちください！ (2019年6月27日 16時) (
レス) id: d6aefcc85a (このIDを非表示/違反報告)
saniwanotori(プロフ) - 背景推理からとても丁寧に物語を構成されていて読み応えがありました。不穏な描写の表現も天才的でドキドキしながら読ませて頂きました。こんなに面白くてとても素敵な作品に出会えて幸せです！切実に消さないで欲しいと思いつつ、続きを楽しみにしております (2019年6月26日 23時) (レス) id: 9faba28f95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：野菜 | 作成日時：2019年6月22日 13時
