｢好き｣のカタチ。【ハイキュー影山飛雄】 (ページ10)

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陸章 -｢昼食｣のカタチ｡- ページ10

▹▸影山 side.
ぼんやりと、石上とクラスメイトの会話を盗み聞きしながら机にうつ伏せになっていた。
「＿でさ、面白くない?」
「そう、だね」
石上はクラスメイトの一方的な話に無理やり合わせている。そのせいで弁当はまだ食っていないらしい。
石上はものすごく空気を読むタイプだと思った。
だから人を余り傷付けないし、相手は不快にならない。
でも、石上自身は＿。
ふとそんなことを考えていれば、勝手に脳が反応したのか、
「石上。」
と呼んでいた。石上はとても驚いており、でも何処か嬉しそうだ。
「＿雨宮さん、ごめんね。ちょっと用事。」
石上はそう言うと、俺の手をグイグイと引きながら教室を出た。
まだ昼休みになったばかりで、昼飯を食べている人やもう食べ終わったのか遊んでいる人もいる。
石上の手には弁当の包みがあった。

「いや〜、ほんとに助けられたよ、ありがとう」
石上はそう言うと、自販機の前に座って弁当を開いた。
「ずっと話聞かされて、お弁当食べれてなかったんだよね〜」
手作りと思われるその弁当は、とても美味しそうだった。
購買で買ってきた牛乳パンの袋を、石上の隣で開ける。
「影山、それだけで足りるの?良ければ私のお弁当分けるけど。」
石上は気を使ってくれたのか、彼女の弁当をこちらに差し出して来た。
「…いいのか?」
「お箸の心配はないけど」
いやそういうのじゃなくて。
でも、石上は何処か、食べて、と言っているような表情な気がして、牛乳パンを頬張ると割り箸を貰って卵焼きを貰った。
「…美味しい?」
「おう。ものすごく。」
そう言うと、石上はとても嬉しそうにした。
「良かった、自分で作ったから嬉しい!!」
ん??待てよ。という事は、俺は女子の手作り弁当を食ったという訳だ。
顔が赤くなっていたらしく、石上は
「ちょ、影山大丈夫?」
と少しぎょっとした顔で心配してきた。
大丈夫だけど、大丈夫じゃない。
なんか、不思議な気持ちになっている。
鼓動が早い、俺どうしたんだ。