拾肆章 -「 朝 」 のカタチ。- ページ20
▹▸影山 side.
朝目覚めると、そこは普段見なれない部屋だった。
だって、石上の家に泊まっているのだから。
癖で5時に目覚めた俺は、ふと石上の方を見てみた。
そりゃまあ、眠っている。
凄く、可愛らしい寝顔だった。
子猫みたいな。
なんかこう、撫でてみたくなるような。
俺は起こさぬように、そっと撫でてみた。
ぴくりと震え、起きたかと思ったけど、またすやすやと眠っていたからよかった。
いつもは明るかったり、冷たかったりしてテンションの差が激しいのに、今は凄く大人しくて、いつもは見られない石上が居た。
また、石上の頭を撫でる。
次は、ゆっくりと目を開けた。
でもまだ寝惚けているようで、抵抗はしない。
でも一応、撫でるのをやめてみた。
「…はよ。」
『おはよう…』
ゆっくりと起き上がって伸びをした石上は、俺に眠そうな笑顔を向けた。
今までに見た事がないくらい、ふわふわとした笑顔だった。
その笑顔で、鼓動が早くなる。
すると石上は何かを思い出したように、俺の額に手を当ててきた。
『…ん、熱下がったみたいだね、よかった』
そうか、俺風邪引いてて_。
でも、凄く今、ドキドキした。
俺に触れてくれたその手が離れていくのを感じると、無意識にその手を握ってしまった。
石上はびっくりする。
そしてついでに、頬が赤くなった。
「あー… わりぃ」
そう言って彼女の手を離すと、石上はそっぽを向いて
『別に、平気』
と言った。
石上のその声は少し素っ気なくて、俺の事を全く見ていないような声だった。
でも、そんな所も愛おしく思うのはなんでだろう。
モヤモヤするのはなんでなんだ?
それから石上は立ち上がった。
その時に一瞬見えた石上の顔は、びっくりするほど赤かった。
▹▸A side.
あぁ、影山は、
なんて馬鹿なんだろう。
そんな、手なんて握られたら、意識しないはずが無い。
しかも一応イケメンだし。
それなのに、自分のやっていることが相手をドキドキさせているのに気付いていない、自分の恋心に気付いていない。
馬と鹿なのか、本当に。
顔が熱い。風邪じゃない。
鼓動が早い。高血圧じゃない。
同じ空間に居るだけなのに、顔なんて見てないのに、高鳴る心臓は鳴り止まなくて。
とりあえず部屋を出ることにした。
いつもの休日は昼間に起きてくるのに、今日は6時。
叔母は起きていて、朝食の用意は既に終わっていた。
今日も波乱の1日が、始まるのかもしれない。
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数珠丸恒次 - もうちょっと文字と、文字の、間をあけると、分かりやすいと思います。嫌味に聞こえたら、すみませんΣ(゚д゚lll (2020年10月31日 10時) (レス) id: 57a8ad7f5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昴 。 | 作成日時:2020年10月20日 18時