｢好き｣のカタチ。【ハイキュー影山飛雄】 (ページ18)

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拾弐章 -｢看病｣のカタチ｡- ページ18

▹▸A side.
ゲストルームに影山を押し込んだ。
ゲストルームとは言っても、単なる部屋だ。
ベッドとデスクが置いてあるだけ。
にしても、さっきから影山の顔は真っ赤なのだ。
念の為、体温計を渡してみた。
初めは

「熱は無いぞ」

の一点張りだったが、渋々測ってくれた。
測り終えて、影山は体温計を、不機嫌な顔で渡してきた。
…37度7分。
本当に熱が出てる。

『ね、熱出てるじゃん…!!!!』
「…出てない。」
『証拠があります!!』
「うぅ…。」

しょげてる。
その時の悔しそうな影山は、喜怒哀楽の激しい仔犬のようで可愛らしかった。
親は出張中で、家には1人らしい。そして、明日は学校設備の関係で部活が全て休みになる。
という訳で、看病という形で泊まらせることにした。

叔母は優しく、影山にお粥を作っていた。
パジャマについては、時々泊まりに来ることになろう私の兄のものを借りた。
兄は東京の大学の寮で暮らしている。家を引っ越す時、荷物を頼まれたのだ。
とても重かった。今度何か奢らせてやる。

「…すごく、おいしい」
「うふふ、良かったわ〜」

叔母はのほほんとしている。
影山は熱のせいで頭が回っていない。
その隣で叔母の美味しいハンバーグを食べる私。影山は私の目の前に座っているけど、ものすごく食べたそうだったから、ほんの少しだけ分けてあげた。
すると、それも「おいしい」と言って笑っていた。その笑顔は、いつもはガンを飛ばしているような顔からは想像できない、優しい笑みだった。
あ、頬が熱い。
だって、コイツ(影山)が私の事好きなんて分かっててこんな笑顔向けられたら、

意識しないはずないじゃん。

▹▸影山 side.
今日、何故か熱を出してしまい、石上の家にお世話になることになってしまった。
幸い明日は部活が何処も休みで、それだけが救いだ。
でも、バレーが出来ない。夕飯を食べ終わってから、せがんでみることにした。

「バレーしたい」
『まず治してからね』
「嫌だ、せめてボール欲しい」
『今から家に行ってボール取ってくるの?』
「おう」
『風邪悪化するよ?』

今、季節夏じゃん。それでもダメなのか、と聞くと、夏風邪っていうのがあるんだよ、の一言だけが返ってきた。
仕方ない、嫌だけど諦めるしかないのか。
でも、石上と今夜一緒に居られるだけで嬉しいから良いか。
そう思っていたら無意識に顔がにやけていたのか、

『何があった』

と聞かれた。
石上、お前のせいだ、バーカ。