｢好き｣のカタチ。【ハイキュー影山飛雄】 (ページ11)

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漆章 -｢籠球｣のカタチ｡- ページ11

▹▸A side.
放課後は、女子バスケットボール部へと見学に行った。
見た感想、正直クオリティが高い訳では無い。かと言って、低い訳でもないが。
もしかしたら、私は一生懸命過ぎて受け付けられなくなるかもしれない。
実は中学のバレー部で、関東大会優勝をさせたことがある。〝させた〟という理由は、当時の部員が私を追いかけてきてくれたからだ。
でも、大会が終わってから大きな距離を感じてしまった。大会優勝からの、みんなの今までの熱意は何処へやら＿熱意を持っている者は、私しか居なくなった。
そんなにアツくなるなんて、馬鹿みたい。
当時3年で副主将だった私は、やる気ゼロになった主将にそう言われた。
…でも、ここのバスケ部なら大丈夫。
全員が高い技術を求めて、練習に励んでいる。
私が入っても、変わらない。
そう思って、バスケ部への入部を決意した。
それと同時に、男子バレー部のマネージャーになればと言ってくれた影山に申し訳無くもなった。

入部届をさっさと書くと、職員室に居る担任に渡した。
担任は直ぐに見てくれて、ついでに「頑張れよ」とも言われた。

バスケ部の部員に1年生は私以外に3人いて、
名前を
「安条桜」「矢田槙乃」「今井加奈」
と言うらしい。
2年生には2人・宇治宮先輩と稲取先輩、3年生には4人・神楽先輩と飯島先輩，鈴川先輩と月光先輩がいる。
人数は少ないが、優しい人ばかりだ。
私は物凄く嬉しくて、叔母と影山に早く言いたかった。
ちなみにポジションは、ポイントガード(PG)になった。
PGはチームの司令塔で、ゲームメーカーだ。
…バレーの司令塔と言えば、セッターだろう。
何処か嬉しそうになっているらしい私に、安条さんと矢田さん、今井さんは話しかけてくれた。
「石上さん、なんて呼べばいい? 私のことは桜って呼んで!」
「私のことは槙乃でいいよ。」
「あたしのことは加奈って呼んで!!」
『桜に槙乃、加奈ね。私のことはAって呼んでくれればいいよ』
3人とも優しくて、馴染みやすい。
先輩もみんないい人で、直ぐに馴染むことが出来た。
すると、主将である神楽先輩が
「技量を確かめたいからさ、私と勝負して欲しいの」
と言ってきた。
勿論私は、『はい!』と答えた。

ルールとしては、私がとにかく守備をする、という感じであった。
神楽先輩は流石3年生で、力も有って強い。
守備が大変だった。
でも、何とかゴールを防ぐことが出来た。
センパイは私の頭を撫でて、
「期待してる」
と言ってくれた。