助け舟 ページ16
【桜井Aside】
「えっと、なんかすんません」
___少しばかり妙な雰囲気になってしまったからか、旦那はどこか気まずそうにそう言った。
(…考え込みすぎてしまった。)
おそらく旦那の問いに答えるまでの間沈黙があっただろう。……変に思われなかっただろうか。
『…いえ、そんなこと』
「旦那ァ、そのくらいにしておいてくだせェ」
「あれ、総一郎君じゃねぇか」
「旦那、総悟でさァ」
___そんな雰囲気を破るように、スパーンと戸が開き、沖田さんが副長室に入ってきた。
「いきなりどうしたの沖田クン、"そのくらいに"って」
「いや、旦那がデリカシーもなく人の色恋沙汰にむやみに突っ込んでいこうとするからでさァ」
「いやそれ沖田君には一番言われたくないんだけど」
相も変わらず沖田さんは真顔でつらつらと喋る。____なんというか、助かった。少々重かった雰囲気が軽くなった。
「旦那、実はAは17歳なんです。そういう話題には一番センシティブな時期なんでさァ。だから勘弁してやってくだせェ。」
「万事屋、そういうことだ。今日はもう帰れ。………くれぐれも他言はするなよ」
「ハイハイわかってますよーって。ったく、過保護だなァ、お前らは。」
「うるせェよ。」
そういうと旦那は私たちに背を向け、神楽さんと新八さんに、"けェるぞ"、と。
「おうネ」
「たいへんお騒がせしました!失礼します」
二人もそう言い残し、帰っていった。
(_____…嵐が、過ぎ去った。)
戸がカタンと閉じられた瞬間、どっと疲労に襲われた。
『………ふう。』
……思わず、ため息が出てしまうほどには。
「まったく、旦那にはデリカシーってもんが欠けてらァ。」
「お前が言うか」
なんて笑う沖田さんは、助け船を出してくれたのだろうか。
(……正直、有難かった。)
『皆さん、ありがとうございました。ご心配おかけしてすみませんでした。』
「構いはしねェよ。…まァ、肩も治りかけだろうから、お前は非番だし今日はもう安静にしてろ。」
『わかりました。……では、失礼します。』
にこっと微笑み、副長室をあとにした。退出した瞬間、ぎゅっと噛みしめた。
(………今隊長を見たら、絶対に意識してしまう。)
____もう今日は何もせず、早く寝よう、そう思ったのであった。
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やまなな(プロフ) - あずきぱふぇ@狂愛さん» ありがとうございます!もう更新しなくなって3年とか経ってしまっていたので、返すかどうか悩んだのですが…せっかくいただいてとても嬉しいので返させていただきました!鬼気まぐれ更新ですが、いつかなんとか完結させたいなあと思いますので何卒…! (2023年3月19日 20時) (レス) id: 57d00f58c5 (このIDを非表示/違反報告)
あずきぱふぇ@狂愛(プロフ) - ぎゃあああああ!!!終兄さぁぁぁぁぁん!!!更新楽しみにしてます! (2021年3月24日 14時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - 岡Pさん» ご覧いただきありがとうございます!!とても嬉しいです!応えられるよう更新頑張ってまいります! (2021年3月8日 17時) (レス) id: 2a45d58c1c (このIDを非表示/違反報告)
岡P(プロフ) - 素敵なお話しですね。この先どうなるのか楽しみです。更新心待ちにしています。頑張って下さいね。 (2021年3月8日 1時) (携帯から) (レス) id: 8256504f4a (このIDを非表示/違反報告)
やまなな(プロフ) - くるみさん» わわわ、今でもご覧いただき、嬉しい限りです!!ありがとうございます!頑張ります!! (2021年3月5日 0時) (レス) id: 2a45d58c1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまなな | 作成日時:2020年3月27日 17時