コイノウタ弐 (ページ4)

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なかりし昔いかでへつらむページ4

思へどもなほぞあやしき逢ふことの続き

「本気って宣言しましたよね。気持ち、変わってないんで」

ビールをグッと飲み干すリリーくんの表情はいつもと変わらないけど、髪が短くなって見えるようになった耳が、赤くなっていた。

『ほん、き？』

「はい」

いつも真っ直ぐ目を見て話してくれるリリーくんの、その目に囚われて言葉が出ない。

「でもあの頃と違うとこもあって」

『違い、』

「Aさんの意思を尊重しようって気持ちです。僕も大人になったんで。断られたら諦めます、」

多分、と言ってフッと口角が上がった。

必ずAさんと声をかけてくれて、みんなが気付かないような小さな変化も気付いてくれるリリーくんが

「...考えて頂けますか？」

『はい、』

あの日を境に、会っても挨拶して直ぐに他の先輩や後輩のところに行ってしまうし、今まで私の隣にいた時間を自分の時間に当てるようになって隣に来る事がなくなったし...

東京でもよく顔をあわせるようになったのに、ご飯行きましょうとか、今日も可愛いですとか、、、言ってくれなくなった。

「リリーさんとなんかあったんですか？」

と周りに聞かれてしまう程で少し可笑しかった。

『リリーくんも忙しいからね』

そう答えるとみんな「見取り図さん今大人気っすもんね」と深入りせずに他の話にシフトチェンジしてくれた。

久しぶりの2人でのご飯はいつもと違ってお洒落なレストランだった。

「Aさん、美味いレストラン見つけたんで行きません？」

誘われた瞬間、人生薔薇色！って視界が華やいだ。好きな人に誘われるのはいくつになっても嬉しいんだって知る事ができた。

仕事の話が途切れた時

「Aさん、そろそろお返事聞いてもいいですか？」

リリーくんはいつになく真剣な表情で、少し緊張しているのが私にも伝わってくる。

『リリーくん、』

「はい」

◇

『ふふっ』

「どうしたん？」

『んん。これからもよろしくね？』

「こちらこそ」

リリーくん、、将企くんに返事をした時のことを思い出すと甘酸っぱくて照れ臭い。

「ご準備宜しいでしょうか？」

『はい』

「地味に緊張する」

白くて大きな扉が開くと、濱くんにゆずるくん関ちゃんも池ちゃんも、東京大阪の同期をはじめ先輩や後輩が「おめでとう」と笑顔で迎えてくれた。

これからも、将企くんと、仲間たちとささやかな幸せの中で過ごせることを願って

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