コイノウタ (ページ7)

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野守は見ずや君が袖振るページ7

人妻ゆゑに我恋ひめやも Aside

「もう別れる、っ」

「俺は別れたない」

これで何回目だろう、、

バカらしくて、情けない。

「あぁ見えてAちゃんのこと好きやから」

将企が仲良くして貰っている先輩で、何度か3人でご飯に行ったことのある濱家さんに慰めて貰った回数も数え切れない。

友達や同期はどんどん結婚して幸せそうなのに…

そう思ったとき何かがぷつん、と切れた

「結婚考えてないなら、別れて欲しい」

将企は私の表情を見て、口から出かかったであろう

「別れたない」

その言葉を飲み込んだのがわかった。

「将企といたら幸せになれる気がしない」

「ごめん、、、」

「じゃあね」

別れる決意はしていたけど

やっぱり大好きだったんだね、将企のこと。

人目も気にせず泣きながら歩いていると、背の高いシルエットが目に入って声をかけられた。

「Aちゃん？！またあいつなんかやらかした？」

「濱家さん…」

「そっか…なんかごめんな」

「なんで濱家さんが謝るんですか」
　

ぼろぼろ泣いてつっかえながら話す私の背中をさすりながら「うん、うん」と聞いてくれて少し楽になった。

それから私の事を気にかけて連絡をくれて、ご飯に行くようになって

濱家さんに告白された。

「寂しさを紛らわす為でもええから」と言われて付き合い始めたけれど、幸せってこういう事なんだと教えてくれた。

付き合って3年。誕生日にプロポーズされた。両親に紹介して婚姻届の提出日も決まって、結婚指輪も届いた。

シンプルなデザインの指輪はキラキラと輝いて、私達の未来を明るく照らしてるみたい。

「久しぶりやな」

「だね」

少し前

「リリーが3人で飯行こう言うてるんやけど…」

嫌って言って欲しそうな顔だったけど

「行くよ、嫌味の一つくらい言わなきゃね」

と言ったら笑って連絡をしていた。

「A、俺んとこ戻るなら今のうちやで？」

「すごいね、堂々と」

「やからリリーと会わせたなかってんて…」

いつも私を抱きしめたい時にしていた手招きをする将企が懐かしくて、愛おしく思ってしまった。

隆くんは知らない

私と将企だけの、合図

あんなに泣かされたのに、やっぱり大好きだったなぁと思い出している自分が可笑しかった。

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