いや日に異には念ひ益すとも ページ46
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「最近のAさ、俺と会っとる時つまらなそうやな」
「、、え？そんなことないよ」
さすが長年付き合ってるだけあってよく見てるなと他人事みたいにボケーっと考える。
「そんなことある。好きな男出来たやろ」
そこまでバレてるって、私が分かり易すぎ？
「盛山さんおはようございます」
「おはよーさん」
憧れてた芸人になって、大変だけど楽しい日々。
「ふふっ」
「えらいご機嫌さんやな」
「そうですか？」
「どうせリリーやろ」
「何？」
彼と出会ったのは芸人を始めた頃だった。
「今日Aと飯行くんやろ？」
「私が行きたかったお店の予約取って下さったんです！」
「1ヶ月は待ったな」
「ですね、余計楽しみ」
彼のことは大好きで付き合えた時は嬉しかった。
「おいひ」
「ふは、リスみたいになっとる」
「はっておいひーでふもん」
いつからかリリーさんによくご馳走して貰うようになって
「乗り切らん、、頼みすぎましたね」
「待った分食べればええんちゃう？」
熱くお笑いの話をしたり、悩みを真剣に聞いて下さったり。お酒を片手に微笑むリリーさんのこと、好きになってた。
「そう言えば、」
「うん」
「彼氏と別れました」
「そうなん？」
あの日、
「Aの笑顔大好きやのに、楽しそうなの先輩と飯した話の時だけやし...一緒におるん辛いわ」
「、、ごめん、」
今にも泣き出しそうな彼に私も泣きそうになったけど、私が泣いたらダメ、そう言い聞かせて合鍵を置いて彼の部屋を出た。
「泣きたい時にいっぱい泣けばええから」
そう言われて泣いてる事に気付く。
「すみませっ、」
「ええよ」
頭をぽんぽんされて、やっぱりリリーさんが好きだと心がきゅーっとなる。
「落ち着いた？」
「はい、、30にもなって振られて泣くなんて」
「正直ラッキーやと思ったよ、俺は」
「え？」
「やっと俺のもんに出来るから」
優しく笑って、また、頭に手が置かれる。
「A、ずっと好きやった。今すぐとは言わん。俺と付き合って欲しい」
「り、りー、さん、」
「うん？」
「私も、私、も」
「あん時のAまじで可愛かったな〜泣きながら、私も、
「ああああああ！」
「ごめんて、耳やられる」
「あ、すみません」
「でも女子てほんま切り替え早いよな。振られて泣いとったはずやのに」
「情、ですかね？」
「それよりさ」
唇が塞がれたら、身を委ねて幸せな時間の始まり
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作者名：裕 | 作成日時：2021年7月12日 1時
