コイノウタ (ページ22)

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人もをし人も恨めしあぢきなくページ22

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「Aさん、いい男確保しました！」

『ありがとう！』

「また男か」

『リリーに言われたくないんやけど』

劇場の楽屋で男の話をするAと荒川。

同期の中で女好きと言われる俺と同じくらい男好きと言われとるAのこと、いつの間にか好きになってしまった。

「リリーさん」

相手をなくした荒川が俺の横に座った。

「Aさんのこと、好きなんちゃいます？」

「、、んな訳」

「好きな間ですよ、それ」

ニヤニヤして「失礼します」と席を外した。

なんなん…

『はー…リリーの言う通りやった』

「ふは、やっぱり」

『私年下向いとらんのかなー好きやのに』

ソファで項垂れる姿さえも愛おしく見えてまう。
病気やな、もう。

『モリシー』

「何？」

『地元の友達紹介してー』

「なんやねん急に」

『彼氏が欲しい』

恨めしいってこういう気持ちなんか、、

「リリーさん」

ニヤニヤした荒川が近付いてくる。

「Aさんのこと、合コンに誘ったんです」

「俺に関係ないやん」

「ちゃいます！嘘なんです。リリーさん、お店教えるので行ってください」

「は？」

思いもよらぬ誘いに、間抜けな声が出た。

「Aさんってリリーさんのこと満更でもないと思うんですよね、私」

「…せっかく荒川が提案してくれたし、」

「LINEでお店送っときますね！」

当日。

先にお店の個室に入って、心を落ち着ける。

荒川駅着いたそうです!

この店は駅から徒歩3分。
気合いを入れるかのように頬をパチっと叩く。

『こんばん、え？』

「どうも」

『なんで？ドッキリ？え？！』

軽くパニック状態のAを座らせて、経緯を話す。

『荒川め…』

「何？俺じゃ不満なん？」

『…ただの差し飲みやん』

「お名前は？」

『えぇってもう』

文句言われると思っとったのに、素直に乾杯して今日の仕事の話を始めた。

荒川の言う通り、満更でもない感じなん？

「で、いつになったら遊ぶの辞めるん」

『遊び人に言われたないわ』

「俺はもう遊ぶの辞めとる」

『リリーが？！』

「失礼ちゃう？」

『私と同じくらい遊び人って言われたリリーが？』

「それ自分も悲しならん？」

『本命できたん？』

持ってたジョッキを置いて、Aの目を見る。

「遊び人同士、案外気合うかもせんで？」

『…えっ？』

「遊ぶの辞めて、俺にしとき」

真っ赤になったAを見て心が満たされていく。

ありがとう荒川