コイノウタ (ページ41)

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恋ひつつ暮らす心なりけりページ41

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Aの作ったご飯をお皿によそって
テーブルに運んで行く。

背中にくっつくAを気にしながら。

◇

「将企くん…」

「んー？」

呼ばれて顔をあげるとご飯を作り終えたAが
泣きそうな表情しとる。

「おいで」

立ち上がって手招きをすると俺の前に立つ。

「お疲れ」

ふんわり抱きしめるとしがみつくようにするのは
いつものこと。

「冷めてまうから、食べてええ？」

「ん、、」

◇

普段はよく笑って元気なA。

その裏で色んな事をひとりで抱えてまうから
たまに急に疲れが出て、こうなる。

最初は対応に困ったけど
「ギュッとしてくれればいい」と。

正直なところ、俺には全部包み隠さずに
色んな事を話して欲しいとこやけど…

「んま」

俺の前にAの分のご飯と味噌汁があるのに
本人はまだ背中にくっついとって

「冷めてまうよ？」

と言っても聞かんことは分かっとるから

ひたすら

「うまいわ、これ。味付け丁度いい」

とか

「また作ってな」

とか

いつもに増して褒めるようにする。

俺もだいぶ慣れてきたな。

背中に頬をくっつけとるAは
「ん…」とか「んー」とか言っとる。

そろそろ、

　

「箸、、」

「はい」

片腕は俺のお腹におるままやけど顔を出して
近くのおかずに箸を伸ばして食べる。

「ん、」

「うまいやろ？さすが俺のA」

お腹にある手を握ると
「うん」と答えて笑った。

今までの俺なら面倒くさいと思ったやろうけど

Aには尽くしたい、
とことん甘やかして癒してあげたい。

ずっと俺の隣におって欲しい。

ずっと俺と過ごして欲しい。

恋は人を変えるんやな。
いや、Aやったから変わったのか？

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