聞こえる男【JM】２

沈黙の後 ページ16

苦しい
　

息苦しくなるほどの沈黙




さっきまでの甘い空気は微塵も残ってない。







目の前の大事な人は

信じられないという表情で頭を抱えてる。





心の中見られて、嫌だった？


知られたくなかった？


実は昔の彼氏にそっくりなミンさんにときめいてた？







勝手に聞いてた俺に腹が立つだろ


嫌になるだろ







でも俺だって聞きたくて聞いたわけじゃない



なんでこんな思いをしなきゃいけないんだろう。




今は苛立ちにも似た感情が胸を占めてしまっている。










『ごめん‥ちょっとびっくりして

　たまたま‥聞こえた？わざとじゃないもんね』








しばらくの沈黙の後

返ってきた言葉は予想外のものだった。





必死で頭を整理しようとしてくれてるみたいだった。







　

JM「まぁ‥そうだけど」



『だったら、仕方ないよ』



JM「仕方ない‥」




『私も言わなくてごめん。別に何もないよ。

　ただ、似てるってだけ。それだけだから』




なんで謝るかな

Aさん 何も悪くないのに。




この人は なんでこんなにも 受け入れようとするんだ


　







JM「ごめん。俺も、言っちゃいけなかった」



『ううん。気になることだったよね』





JM「好きだった人とそっくりな人がいたら

　 気持ちが揺れ動くのかなって、思っちゃって」



『動かないよ。別に、顔が似てるだけだし。
　
　気にしないで』




JM「うん‥そっか」













『過去は過去だから。もう、いいの』









そうか


俺が気にしすぎてただけなんだよな。






勝手に不安になって

イライラして

焦って空回りしてたんだと



少し冷静になって思えてきた。

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