聞こえる男【JM】２

担当さん ページ11

家に泊まらせてもらってから、

俺達のデートの幅が広がって、

だいたい休みの前日はどちらかの家に行くようになった。





あの話を聞いても



過去は過去

そう思っていた。






でも、もし、その人がいなくならなければ、

まだその人と付き合っていたんだろうか。





好きなのにって 夢でそう言っていたし。





いなくなったから無理やり諦めたのかな。




きっと辛かっただろうな。







そんなことを考えながらも、俺達の今は順調に続いていた。



続いていたんだ。












JM「Aさー‥」



彼女のところへ仕事の用事で向かったところで、

先に来てる人と何か仕事の話をしているのが見えた。






あの人


うちの担当さんで、たまに来てるんだけど





なにということはないんだけど

やっぱりAさんの表情




なにか違うんだよな。





あんまり顔を見ないし


苦手なのかなあの人のこと








YG「ありがとうございます。じゃまた、お願いします」



『はい、こちらこそ』






挨拶をして去っていく直前





YG「え？あ なんかありました？」




Aさんは担当さんの顔を見て固まってる。






『あ』



俺

あの顔知ってる。











なんなんだろう





YG「そんな見られると照れますけど」




『ですよね すみません』






まるで好きな人を見つめるみたいな

優しくせつないあの顔








担当さんも、あんな顔するんだ



目が猫みたいに細くなって

ふわっと静かに笑った





なんなの






去っていく担当さんを見送るAさんは


俺の彼女じゃないみたいで、ちょっと悔しかった。








JM「おつかれさまです」



『あ おつかれさま』








声を掛けるといつものAさん






JM「あの担当さんとなにかあるの？」



『ん？』




JM「なんかじっと見つめてたじゃん」




『え 別になんでもないよ』




JM「そ」






なんでもないならいいんだけど

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