はい お嬢様【JN】

電話 ページ22

『何されてもいい』




お腹に顔を埋めながら、ぎゅって腕を強く巻き付けて


そんな殺し文句ないだろう。




これで何も手出ししない男がいたら尊敬するよ。










巻き付いている腕を力で離して、ソファに押し倒した。






上に跨り、顔の横に両手をつく。






JN「何されてもいいの？」





『‥うん』





JN「意味わかってる？」




『‥‥わかってる。』






このまま顔を下げたら









prrrrr





JN「‥‥っ電話」




ぎりぎりのところで、踏みとどまった。








電話は旦那様からだった。




家は変わりないか、お嬢様は元気かという確認と、

明日アメリカを出るという報告だった。







JN「はい。お気をつけて。」







電話をきると、起き上がってソファに座っている彼女と目があった。





JN「すみませんでした。」




『謝らないでよ』




JN「いえ、執事としてあるまじき行動です。」




『今は執事じゃないソクジンだよ』




JN「もう休みましょう。」




『‥‥』




JN「お嬢様」





『無理なの？』





JN「‥‥お嬢様」





『こんなに好きなのに、どうしても無理なの？』





JN「お嬢様には、もっと相応しい方がいます。」





『‥‥それが答え？』




JN「‥‥そうです」






顔が見れなかった。






お嬢様の顔を見たら、耐えられない気がした。





俺はズルい。








彼女は泣きそうだったと思う。



そのまま黙って部屋へ行ってしまった。









これでよかったんだろうか。






いや、よかったんだろう。






彼女はきっと幸せになれる。





今は傷つけてしまっているけれど、そんなの今だけ




きっと誰かを愛して、愛されて、みんなから祝福を受けて、

幸せな未来が待ってるはず。









そう思うのに、







なんで俺は涙が出てるんだろう。






こんなに愛しくて、大切な彼女を拒絶して

傷つけて。







自分が嫌になる。

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