はい お嬢様【JN】

執事 ページ2

「お嬢様」





私はこう呼ばれている。








幼い頃は、少し裕福な家庭なのかな、とは思っていた。



でも大きくなるに従って、ちょっと特殊なのだと理解した。







祖父母はもう亡くなったけど、とても偉大な人たちだったという印象が残っている。



亡くなった時にそれはもう多くの人が訪れて、何事かと思った。






厳格な父は会社の社長をしている。



母はおっとりしているけど、家で書の師範をやっている。



いわゆる、お嬢様育ち、という感じの母だ。



弟は、高校生。ゆくゆくはうちの会社を継ぐことになる。




皇室と遠い繋がりがある家系で、

お金持ち、というより、由緒正しき、みたいな感じ。










何不自由なく育てられたことは感謝している。













そんな我が家には、お手伝いさんが何人かいる。




今どき珍しいと思う。




父の秘書や、家事全般をやってくれるメイドさん、シェフ、運転手‥‥そして、執事。








小さな頃から、家族以外のたくさんの人に囲まれて育ったので、これが当たり前だと思っていた




でも、執事がいる、なんて驚かれるから、言わなくなった。








執事は、要するに頼れる何でも屋さん。




我が家のことを何でも把握して、お手伝いしてくれる人。








男性であり我が家のお手伝いさんを取り仕切るリーダーというか、全般を監督する人。









といっても、うちの執事は、若い。
















父の秘書が基本的には父のことを全て任されているので、
執事は、私につくことが多い。











『ねえ、ソクジン』




JN「はい お嬢様」





『お嬢様って呼ばれるの好きじゃないの』




JN「お嬢様はお嬢様ですから」





そう、このソクジンという執事が、



私のいろんな世話係であり、監督者であり、





初恋の相手。






私は彼に、ずっと恋をしている。

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