あなたを支えたい【HS】part2

現実 ページ35

『‥‥』



何も言えずに固まってしまった。




「さすがにこれは否定しませんね」



『目的は何ですか。いつも別れてくださいって言いますけど
　なぜですか。』




「これを記事にすれば、大スクープです。
　私は記者として大スクープを出すことになる。
　世間は大騒ぎでしょう。
　それでもいいんですけどね。
　現実的なのは、お金ですよ」





嫌な話に言葉が出ない。




「そちらの事務所に何度言っても、無視なんですよ。
　金出して隠蔽すればいいものを。」




『で私をゆすってるんですか』




「いえ、あなたは一応一般人ですから。
　それにあなたから金をとろうなんて思ってない。

　いるんですよ、世の中には、大好きなアイドルのために
　いくらでも払うって人が。」




『どういう意味ですか』



「あなたたちを別れさせて、あなたがメンバーの前から消えれば、私に大金を払う人たちがいるんだよ。」






『そんなの、、、』





信じられない。



でも、自分の知らないところで、そういうことがあっても
不思議ではない。



それくらいに影響力のある彼らだから。





「この記事が出たら、グループとして大ダメージですよ。
　どうするのが賢明か、あなたならわかると思いますけど。
事務所に相談してもいいですよ。事務所から大金をもらっても、私はどちらでも構わないので。」





名刺を渡された。





「別れていなくなるなら、その証拠がいるので、
　連絡ください。」







頭がごちゃごちゃだ。




何かで打たれたようにクラクラする。





何をどうするべきなのか。





わからなかった。





でも、怖くて仕方なかった。





自分のせいで彼らの仕事が、だめになったら？

人気がなくなったら？

世間に批判されたら？




現実味を帯びてきて、どうしようもなく怖かった。





守りたいのに。大切な人たちを。





大切な彼を。

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