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(in.side)


俺はゆうとが好きだった

きっかけも、いつからかも分からない


小さい頃からずっとお互いを知っていて
ゆうとの先輩として
ゆうとの半歩前を歩いていられるように


いつの間にか
あんなに小さかったゆうとを見上げるようになって
信じられないくらいいい男になった

半歩後ろでその背中を追うようになった

前に立つゆうとが
その背中が
俺を守ってくれてるみたい、なんて自惚れた

それと同時に
俺を置いて先に行ってしまうんじゃないかって



どんなに足掻いても浮き上がることはできない
深い海の底にいるような焦燥感を覚えた



__あの日特に何があったわけでもない__



突然増えた仕事
もちろん嬉しいし、ありがたかった

だけど手のひらをかえすように
周りが俺のことを『かわいい』と言い出すようになって
結局見た目か、なんて
ちょっと人間が怖くなったりした


目が眩む程の仕事量

確かに大学時代も忙しかったけれど
朝夜問わず立て込む仕事に
慣れていなかったのは確かだ



どんなに頑張っても
追っていた背中に追いつける希望も見えなかった
あたりまえだ、男同士なんだから



__心身が疲弊していた、ただそれだけ__



久しぶりに1人の時間が生まれた楽屋
ほっと息をつけば意図せず涙が溢れてきた


正直誰かが入って来たことさえ気づかなかった


包み込んでくれるその温度に
鼓膜を震わす優しい声に
溢れる涙は止まることを知らないように流れ続けた



安心した


側にいてくれるだけで心が温まった



山ちゃんに話せるのはここまで
ここからは俺のひとりごと



.

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作者名:名無しの腐女子たち x他7人 | 作成日時:2017年3月16日 21時

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