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(ym.side)
あの日から
日を重ねて
月を重ねて
年を重ねて
俺はすっかり
あの時どうして泣いていたのか
聞くタイミングを逃してしまった
「やまちゃん、まだー?」
でも今こうして
笑ってる君が隣にいるから
これでよかったのかな、なんて思う
「...ぇ......ねぇってば!聞いてた?」
「......っ!」
昔の記憶を辿っていたら
どうやら伊野尾ちゃんの話を聞いていなかったようだ
台所で包丁を握る俺の首あたりで
白くて細い腕が絡まる
ぴったりとくっついた彼の体の熱が
背中から伝わってくる
右肩に乗せられた顎
至近距離でのぞきこまれた
突然伊野尾ちゃんの香りに包まれて
言葉に詰まった
「......危ない...から、離れて」
「けちぃ〜」
結局特に大した用でもなかったのか
頬を膨らまして拗ねた様子で
もといたリビングのソファに戻っていく
ズボンが少し窮屈に感じているのは
気のせいだ、と思いたい
どしたものか
こっそり深いため息をはく
あの日からこうして何日かにいっぺん
伊野尾ちゃんは俺の家に転がり込んでは
夕飯を食べにきたり
時には泊まっていったり
きっと理由を尋ねたところで
"気が向いたから"
の一言で
済まされてしまうのだろうけど
それで伊野尾ちゃんの気が紛れる(?)のならいい
現に彼は一時より笑うようになったと思う
少なくとも俺は、そう思う
問題はアレだ
伊野尾ちゃんと俺がたまに会って
こうして過ごしていることを
メンバー誰1人、マネージャーさえ知らないことと
2人きりの時だけ生まれる
伊野尾ちゃんからのスキンシップだ
.
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作者名:名無しの腐女子たち x他7人 | 作成日時:2017年3月16日 21時