declaration of love_1 【ymin】 (ページ42)

今日:29 hit、昨日:7 hit、合計:345,957 hit

＊ページ42

side in

「ふぇ！？ちょ、やまだ？」

「うん、山田だよ？」

にっこり笑う姿はやっぱりかっこいい…じゃなくて！

まさかまさか、さっきまでの話きいてた…なんてこと、ないよね。

なんでか知念はいないけど、今戻ってきたってことだよね？ね？

期待をこめて山田を見た、のに。

「ねぇ伊野尾ちゃん」

「は、はい」

「伊野尾ちゃんは俺のこと好きなの？」

……そう訊いてくるってことは間違いない。

きかれてたんだ…！

「や！違くて、あの」

慌てて言い訳を考える。

動け、俺の頭。
回転は遅くないはずなんだから…！

「違うの？」

「あ、うぅ」

「…俺は、好きなんだけどな」

「！！」

あわあわしているうちに近づいていた距離が、一瞬だけ０になった。

唇が離れても尚、目の前には山田の整った顔がある。

「やまだ…？」

再び迫ってくる顔から逃げようとするけど、ソファに座ってる時点でそんなことは無理で。

トン、と背中が背もたれにあたる。

山田が乗ってきたことで、ソファはギシリと音をたてた。

「好きだよ、伊野尾ちゃん」

「あぅ、えと」

うまく言葉が出せない俺に対して、山田はすらすらと言葉を紡いでいく。

「いつもにこにこしてるとこが好き。かわいく笑って俺に一番にあいさつしてくれるとこが好き。ふざけてるときも、怒られてしゅんとした時の顔も好き。」

甘ったるい声で、甘ったるい微笑みで。

…そんなこと言われたら、動けなくなってしまう。

「テキトーに見えて実はほんとに真面目なとこが好き。ちゃんとみんなのこと見ててくれるとこが好き。大ちゃんと仲良く話してるとこは嫌い。でもその時の優しい笑顔は大好き。」

“ジョーカー振りかざした方が早くない？”

大ちゃんの声が頭に響いた。

…キスなんて、最強も最強、告白以上のジョーカーだ。

「白米で顔輝かせるとこが好き。少しふわふわしてて、でもきれいなダンスが好き。高くてかわいい声が好き。ちょっとぎこちないウインクが好き。」

山田が俺の好きなとこを言うたびに、頭のなかでカードがバラバラとこぼれていく。

10年かけてそろえてきた手札は、もう散り散りだ。

「意外と泣き虫なとこが好き。にゃーにゃー言ってるとこが好き。見えない努力をちゃんと続けるとこが好き。」

きっと一番最後に手元に残ったカードは、ダイヤのA。

赤い、赤い、エースのカード。

…いつからだろう。
とっくに、山田を落とす手札はそろっていたのだ。

ただ、俺が出せていなかっただけで。