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side ym
「おはよ、やまだ」
「おはよう！伊野尾ちゃん」
今日は朝から雑誌の撮影。
楽屋について一番に伊野尾ちゃんからあいさつをもらえた俺はご機嫌だ。
「今日も天使…！」
「うるさいなぁ」
今回は知念とペアなのをいいことに、待ち時間もかわいいと言い続ける。
「あ、ほらいのちゃん撮影してるよ」
「え？あーほんとだ」
いのちゃんは大ちゃんとペアみたい。
仲良さそうに顔をくっつけてないしょ話してる光景は、見慣れたとはいえちょっと辛い。
「大ちゃん…いいなぁ」
「いのあり、だもんねぇ」
「くっ…」
「うかうかしてたら取られちゃうかもよ？」
「え！？」
「まあ大丈夫と思うけど」
作戦は結局思いついていないままだ。
「うらやましい…なに話してるんだろ」
「さぁ？ほら、僕たちも行くよ」
二人と入れ替わりで俺らも撮影。
おつかれさま！って声をかけてくれた伊野尾ちゃんがかわいすぎて、そのあとはかなりいい笑顔が撮れたと思う。
◇
撮影終わり、余りにかわいい言い続けてうざかったのか、知念は圭人のところにすっ飛んでいってしまった。
仕方なく一人で楽屋に戻る。
でもドアの前に立ったところで、俺の足は止まった。
「いいかげんにさ…」
「いやぁ……」
伊野尾ちゃんと大ちゃんの声だ。
悪いと思いつつも気になって聞き耳をたててしまう。
「もうほんとに十分だと思うよ？」
「だって山田だよ？壁は高いんだよ？まだ装備が足りないって」
「さっさとしないと知念か圭人に取られるんじゃないの」
「わー！それはダメ！」
え、俺の話！？
ていうか、今のって…
「思いきって一回告白しなよ。振られたらまた再度チャレンジすればいいじゃん」
「そ、そんなぁ…」
「もー、そんなに弱気だとこのまままた10年経っちゃうよ？」
告白…フラれる、とか言ってるし、間違いなく恋愛の意味での告白だ。
しかもまた、10年って、そんなに前から俺のこと好きなのか？
てことは、知念が言ってたことは本当…？
「あ、俺トイレ行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
ヤバイ！いや、ヤバくはないのかもしれないけど。
慌てて隠れて、大ちゃんが出てくるのを見送る。
「どーしたらいいのかな…」
伊野尾ちゃんの独り言。
その声がさみしそうで、悲しそうで、俺は腹をくくった。
知念、お前を信じるぞ。
「伊野尾ちゃん、」
俺は思いきって、楽屋のドアを開けた。
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作者名：名無しの腐女子たち x他7人 | 作成日時：2017年3月16日 21時
