ちかくて、とおい。 (ymin)

7.▽ ページ8

side.kei




「涼介くん!私、髪型変えてみたんだけど....」


「あ、私も！今日髪巻いてきたの。どう？」




教室に入ると、待っていたといわんばかりに涼介の周りに集まる女子たち。

隣にいる俺は、あきらかに邪魔だという目で女子に睨まれたから、そっと離れて席に着く。



涼介はきれいな笑顔で、慣れたように対応している。

毎日毎日、大変だよなぁ。涼介....。




そんな涼介を横目で見ながら、最近新しく買った小説を読む。

この作者さんのミステリー、おもしろいんだよねぇ。えーと、どこまで読んだっけ....。








「けーい！」


「わ、りょうすけ！」





パラパラとページをめくっていると、目の前にひょこっと出てきた涼介。





「女の子たちはいいの？」


「けいといるほうが楽しいし」




そんなこと言ってたら、女の子たちに怒られちゃうぞー。笑

俺は嬉しいんだけどね。





「うわぁ。一時間目から数学かよー....」


「涼介寝ちゃうね。笑 俺は三時間目が嫌だけど」


「体育か。笑」









学校が終わったら、また涼介と一緒に帰る。

これが俺の日常。こんな普通の日々が楽しい。






まさかこれから、俺の‘普通の日々’が壊されるなんて、思ってもいなかった。

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