ちかくて、とおい。 (ymin)

15.▽ ページ16

side.kei




「えーと、....とりあえず、帰る？」

「....うん」



離れたところでみていたなかじま君もなんとなく察したようで、気まずそうに話しかけてきた。
気持の整理は全然ついてないけど、なかじま君の言うとおり帰ることにした。








「なんかごめんね、おれのせいで....」

「なかじま君は悪くないよ！..きっと俺がなんかしちゃったんだ....」




分かれ道で、なかじま君は申し訳なさそうにそう言ってきた。

俺、涼介の嫌がることしちゃったのかな？
最近機嫌が悪いようにみえたのも、全部おれのせいなのかな？

思い当たる節がなくて、困る。




そんな俺を見て、なかじま君は困ったような顔をしながら、俺の頭を優しくなでて、「また明日ね」と言って自分の家の方へ帰って行った。


なかじま君に悪いことしちゃったな。怒ってもおかしくないのに、なんであんなに優しいんだろ。それに比べて俺は自分のことばっかり。

涼介のことはなんでもわかると思ってたのに、全然じゃないか。自惚れていた自分が恥ずかしくなる。




その場から動けずに、俯いていると、ずっと目に膜を張っていた涙が零れおちた。
一度出た涙は、もう止まらない。

外だってわかってるけど、こんなとこで泣いたらだめってわかってるけど、涙はぽろぽろと流れていく。









「あれ、けいくん？」

ふと、上から優しい声が聞こえて顔を上げた。


「え、どうしたの？！ころんだ？どこか痛い？」


俺が泣いていることに気づき、慌てているかっこいい人。









「....ゆうやくん..」

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