イベリス【ymin】 (ページ40)

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「どう？食べられそう？」

お粥を咀嚼する俺の顔を、山田が覗き込んでくる。

「うん、すごい美味しい。」

これなら何杯でも食べられちゃう。

あながち冗談でもないような冗談を言うと山田がくすりと笑う。

「沢山食べて、早く元気になってね。俺、伊野尾ちゃんが倒れたって聞いた時、ほんとに心配だったんだからね。」

その言葉は社交辞令のようなものではなくて、本当に心配してくれたのだろう。

美味しいお粥と山田の言葉に俺の心まで暖かくなる。

人に甘えるのは得意では無いけれど、たまには人に看病されるのも悪くないと感じた。

もし、

「もし山田がしんどい時は、俺が看病しに行くね。」

そう言い、へらりと目を細めて笑いかけると山田は楽しみと返してくれた。

体調不良が楽しみだなんて、変なの。

委員会を終えた大ちゃんが帰宅して、山田は帰って行った。

ふと浮かんだ疑問。

「なんで大ちゃん、俺が倒れたって知ってるの？」

もしかして薮がちくった？

「んーん。3年の高木先輩って人が俺のクラスまで来たんだよ。ちょっとチャラい感じの人！薮くんも気づいてたみたいだけど。」

思っていなかった人物の名前に驚く。

記憶が曖昧だが、保健室で会ったような気がする。

たかぎもいいやつだな。

今度山田と高木にはお礼をしなくちゃ、もちろん大ちゃんにも。

優しい友達と先輩、家族の優しさに触れた、そんな一日。

ちなみに数学のテストは82点で俺的にはまずまず。

普段と違いケアレスミスの多さに、教師にはちくりと嫌味を言われた結果であった。