イベリス【ymin】 (ページ31)

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大プールに着くと、思っていたよりもたくさんの人が集まっていた。

キョロキョロと辺りを見回りしていると、向こうで大きく手を振っているピンク色のでこっぱち野郎、否、大ちゃん。

「ごめん、お待たせ。場所とりありがとね。」

「ううん、間に合ってよかったよ！」

大ちゃんの元に2人で駆け寄る。

「山田と2人で楽しめたみたいじゃん。」

このこの、と肘で俺をつつきながら大ちゃんはにやりと意地悪な笑みを浮かべ、耳打ちをしてそう言った。

「…まあ、ふつーに楽しめた。」

ねー、山田！

そう山田ににこりと微笑みかけ、同意を求めると？マークを浮かべながらも

「…う、うん。そうだね？」

とうなづいてくれた。

「もうすぐイルカショー始まるから、みんな座ってな。」

相変わらず薮が母親のように注意をする。

俺たちの席は前から3列目。

とても迫力を感じられそうな位置だ。

…濡れないといいけど。

飼育員の綺麗なお姉さんの声とともに、イルカが大ジャンプをする。

きらきらと太陽の光が水しぶきに反射して、イルカは何だか神々しく見えた。

イルカは頭が良いと聞いたことがあったけれど、きちんと指示通りに飛んだり、集まったりしている姿を見ると間違いではないのだろう。

ふと隣に目線をやると、じーっと食い入るようにイルカを見つめている山田。

イルカが右に泳げば右に目をやり、左に泳げば左にやる。

…なんか、

「…猫みたい。」

くすくすと1人で笑っていると視線に気づいたのか、山田と目が合った。

「…何笑ってるの。」

「いや、楽しそうだなって。」

「そりゃ楽しいよ？何回みてもこういうのはいいよね。」

「…そだね。」