イベリス【ymin】 (ページ30)

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受付で高校生用のチケットを5人分買う。

祝日ではあるが、そこまで混みあってはいないようだ。

入場ゲートでチケットを渡し中へはいると、目の前には幻想的な深い青が広がっていた。

「…わあ。綺麗。」

水族館に来るのは子供の頃以来。

大きい水槽の中で魚たちがキラキラと光りながら、泳ぐその姿に見とれてしまった。

「ねえ、伊野尾ちゃん。あっちにイルカいるって！見に行こ？」

俺と同じで山田も目を輝かせていて、手首を軽く捕まれイルカのいる水槽の方へと連れていかれる。

「はぐれんなよ、2人とも。」

薮の母親みたいな言葉が聞こえた。

「この子はシロイルカで、高い声で鳴くからカナリアって呼ばれてて。その子はカマイルカで、ジャンプとか、アクロバットが得意なの。」

「へぇー。そうなんだあ。おっきくて迫力あるね！」

山田元々動物が好きなのと5歳の双子ちゃん達とよく水族館に来るそうで色々な生き物に詳しかった。

俺に対してしてくれる解説を周りの人達がコソッと聞いているくらい。

ひとしきり山田と2人で館内を回りきったところで光からLINEが来ていた。

『13時からイルカショーやるって。場所とって待ってる。』

「光くん、何だった？」

「13時からイルカショーやるみたい。もうみんなそこにいるらしいから行こっか。」

「ん、分かった。」

イルカショーをやるのはどこだろうと地図を見る。

場所は南館3階のプール。

俺たちがいるのは北館なので、少し距離が離れていた。

現在の時間は12時45分。普通に歩いていけば間に合うだろう。