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私の全てを話したところで、先生が助けてくれるかどうかはわからない
でも、もう何を言われてもされてもこれ以上のショックはないほど私は今どん底にいる
後のことは後で考えよう
そう心に決め、先生に私の家庭環境全てを話した
父親が高校入学の時に病死したこと
それ以降、母の態度が変わって男を家に連れ込むこと
男からも母からも疎ましく思われていて、家に居場所がなかったこと
今日家に帰ると男と母が話しているのを聞いてしまったこと
自分と母は血の繋がりがないこと
私が卒業したら家を追い出そうとしていること
悲しいはずなのに、何故か感情を失ったロボットのように淡々と言葉を繋いだ
先生は私の話を黙って聞いていた
時折り、眉間にシワを浮かべながら
「私の居場所なんてどこにも無かったの。」
私は自分の生い立ちについてをこの独り言のような言葉で締めくくった
風磨「A、俺の話もしてもいい?」
先生から帰ってきたのは哀れみでも同情でもない
突然、次は自分のことを話すと言い出すから驚いたけど、私は首を縦に振った
私が頷くと先生は着ていたシャツを脱いで、綺麗な上半身を覗かせた
「え、ちょっと先生!?」
驚いて目を逸らす私に
風磨「これ見て」
先生は私と反対側を向いて背中を向けていた
その背中にはいくつもの痛々しい痣があった
「何これ、痛そう、、、」
風磨「俺ら似たもん同士なのかもな」
自嘲気味に言った先生はふたたびシャツを羽織りこちらに向き直る
風磨「俺の場合はいわゆるDVってやつ?
親父がさ、仕事で失敗してからおかしくなって母さんとか俺に暴力振るようになった
毎日毎日、どれだけ父親の機嫌とってもダメ。気に触ればすぐ暴力。何回謝っても許してくれねぇんだ」
昔を思い出すように語る先生
聞いているだけでも全身が疼くような話だった
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作者名:紫陽花 | 作成日時:2020年8月29日 0時