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気がついたら知らない場所にいた。
私の住んでいた米花町や、よく遊びに行ったトロピカルランドなんて存在しない。
そんな世界に私はいた。
目の前にはベルツリータワーに似た電波塔が存在するがベルツリータワーでは無いらしい。
なぜならタワーから出てきた家族が「スカイツリー、凄かったねぇ」なんて言っていたからだ。
つまり、今私の目の前にある子の電波塔の名前は“スカイツリー”
まあ、それがわかった所でなにか進展がある訳では無いが。
持ち物はスマホと諭吉が2人と英世が5人入った財布だけ。
スマホで日時を確認して驚いたのは、よく漫画の中にあるタイムスリップをした訳では無いということ。日付は間違いなく昨日から１を足した日付。曜日も昨日からひとつ進んだ世界。
ただ、私の知っている街が消えた。そんな世界に私は立っていた。
「･･･わけわからん」
服装はまさかまさかのパーカー１枚と半ズボンにビーサン。
近所のコンビニに行こうと家を出て、信号を待っていた時に後ろから背中を押されたような感覚があった。
だけど、道路に押し出された訳でもないし後ろを振り返っても誰もいなかった。
信号が青になって、大学の友達から送られてきていたメッセージに返信をしながら歩いていて。顔を上げたら知らない世界だなんて信じられるはずがない。
悩んでいるのも馬鹿らしいので、服装はアレだが近くのファミレスに入ることにした。
頼んだのは好物のハンバーグとデザートのコーヒーゼリー。
料理が運ばれてくるまでの間、色んなことを考えた。
言葉は通じる、日付にも異常はない、天気だって家を出たときから変わった様子はないし周囲から奇怪な目で見られている訳でもない。
･･････そういや、ヒロから返信来ねぇな。
そう思ったのはハンバーグを食べ終え、食後のコーヒーゼリーが運ばれてきた頃だった。
基本的にヒロからの返信はとことん早い。そんなヒロからもうかれこれ１時間以上は返信が無いことに私は気づいた。
急いで携帯を開き、ヒロとのチャット画面を開くが。
【エラー：通信状態を確認してください】
そんな文字に嫌な汗が頬を伝って机に落ちた。
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作者名：イキシア | 作成日時：2022年1月27日 8時
