名前も知らないライターさん

取材 ページ38

『このメール鳥海さん宛に取材依頼入ってますよ〜』

「...はい？」

いつもと変わらない日常

記事書いて企画打ち合わせしてのんびりとタバコ吸って

今もソファーで他の校閲してたらまさかの取材依頼って

おかくしくないか？

うちのCEOや、動画メンバーに取材くるのは分かる

な！ぜ！私なんかに取材が来るのか？

後輩から印刷されたメールをもらってさっと眺める

「これ他の人に擦り付けてもいいかな？」

『何言ってんですか、さすがにだめですよｗ』

ぽろっと出た言葉が聞かれ後輩からツッコまれた

「じゃあ取材拒否してこようっと」

別部屋にいた拓司を呼ぶ

「拓司〜この取材拒否して」

伊沢『はぁ？何で俺が』

「私より拓司の方がいいし、これは私が受けるべきじゃない」

バンと拓司のデスクに置く

伊沢『あぁ...ココの会社か...』

ボソッと呟いた拓司

その声は私に届かなかった

しかしこの取材拒否をきっかけになぜか取材依頼が増えた

意味分からん

河村『どうしたらこんなに取材依頼が増えるの』

「んなの、私が知りたいよ！！」

流石の私でも連日のように依頼が増えイライラも溜まる

別の会社もいるけど同じ会社に何度もだよ？？？

諦めろっての

「...ちょっとタバコ吸ってくる」

オフィス近くの公園に行き

今日何度目かのタバコを吸う

取材が増えるのと同時にタバコの量も増えた

「...最悪」

ふぅと息を吐き心を落ち着かせる

この時間、これだけは大丈夫だと思ったのに...

『鳥海Aさんですね？』

「...初対面には名を名乗るってこと教わりません？」

顔をあげると2人の男

タバコを消してベンチから立つ

『あぁそれは失礼しました丹埜記者の志木といいます』

名刺を渡されたのでそれは素直にもらっておく

もう1人はカメラマンは名刺なし

「んで？なんのようでしょうか、あなた方の取材は断ったはずですが？」

この記者を筆頭に他のとこからも取材が入ってきた

他は断ったら引いてくれたけどな

『だからこうやって直撃で来てやったじゃないですか』

何この上から目線、気持ち悪い

「それは社会人としてどうなんでしょうね、それで記事取れても意味ないんじゃないんですか？」

『大丈夫ですよ上司は俺の親には逆らえないんでね、平気ですよ』

「あぁ...親の権力に甘えてるクズなんですね？」


さぁバトル開始といこうじゃないか



2020.10.8 みなと

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