夢幻 (ページ6)

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末澤side

「お疲れ様でした〜」

めっちゃ疲れたわ。

ただ座ってVTRを見る収録やったのに、半日ぶっ通しでロケした時くらいの疲労感が襲ってくる。少し収録が押したけど、それでも30分とかこの業界では短い方で。

疲れたし大事にしたくなくて、押したことを理由に病院行かんとこって思っとったけど、この異常な疲労感とさっき流星に言われた言葉と表情が、俺の中で芽生え始めていた不安の成長速度を加速させる。

「...一応病院行っとこうかな。」

心もとない声を楽屋に残して、タクシーへと乗り込んだ。

タクシーを捕まえたあと、近くの内科へと向かった。

マネージャーには病院行くって言わんかった。
心配かけたないからな。

もともと行きたいセレクトショップ寄って帰るって伝えとったから、タクシーで帰るつもりやったし。

一応流星には「病院におるよ」って送ったんやけど、既読がつく前にあっという間に病院へ着いて診察室へと呼ばれてしまった。

診察室ではいくつかの問診を受けたんやけど「もの握れんかったり、腕上がらへんかったりするのが2週間くらい前から増えてきました」って言ったら明らかに先生の雰囲気が変わった。

その後はこの答えを皮切りに、質問を重ねる毎に先生の声や表情が曇っていくのが嫌でもわかってもうて、診察室を出た後にやっぱどこか悪いんかな...なんて考えが浮かぶ。

あーいややネガティブ嫌いやねん。
なんか違うこと考えよ。

そういえば流星おったなら丈も一緒やったんかな、久しぶりに会いたいわ。
丈とはほんまに男友達って感じやから、あんまり連絡とか取らへんけどやっぱり会いたくなんねんな。

丈がおったらいつでも楽しいねん。どんなときでも。

でも病院おるなんて言ったら無駄にめっちゃ心配されて、「お前ちゃんと飯食えって言ったやん」とか「最近寝れてんのか？」とか質問攻めにされるんやろうなぁ。丈とはいつでも笑ってたいからそんなのごめんやわ笑

「末澤さん〜、2番検査室にお入りください。」

「はい」

少しだけ軽くなった足取りで検査室へと入った。