夢幻 (ページ4)

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末澤side

今日は東京で1人の仕事。

東京で仕事貰えんのはめっちゃ嬉しいし、決まった時からめちゃめちゃ頑張ろうって思っててん。

でもなんかめっちゃ疲れやすいんよ。
今日だけやなくて最近ずっと。

少しでもグループの名前を広げて1歩でもデビューへ近づきたい。
そう思う気持ちはあるのに、気持ちばっかりで身体が着いていかない感覚がする。

体力落ちたんかな、、。

楽屋に用意してもらったお弁当も食べる気がしなくて、飲み物だけを買いに自販機へと向かう。

自販機の前で何にしようか一通り悩んだ後、糖分を取る気にもなれなくてホットコーヒーを選んだ。

関西とは違う慣れない空気のせいか歩く気力もなくなって、そばにあるベンチに座って暖かい缶で少し冷えた手を温める。

？「誠也くん？」

末「ん、えっあ！流星！」

大「めっちゃ久しぶりや〜！
誠也くんに会いたかってん！！」

ぼーっとしていたらなにわ男子の流星が目の前におって、あわてて返事をした。

末「ほんま？笑
俺は久しぶりな感じせーへんな〜笑」

大「ええ、誠也くんは流星に会いたくなかったん？」

末「なんやそれ笑」

大「Aぇのみんな誰も連絡くれへんから寂しいんやもん」

そう言って拗ねた表情をする流星は松竹座の狭い楽屋に居座っていたあの頃と変わらんくて、少し安心している自分がいる。

大「てかそんなとこでボーっとしてどうしたん？」

末「ん？ちょっと休憩しとっただけ」

大「ふーん
あ、誠也くん立って！」

末「え？」

大「ほら、いいから！」

相変わらず人懐っこい流星に振り回されて、少しだるい身体を持ち上げて立った。

大「相変わらずちっちゃい笑」

末「はぁ！なんやねん！笑」

大「ふふ、誠也くんのツッコミ懐かしい
ね、昔みたいにぎゅーして？」

末「ここ松竹とちゃうで？笑」

大「いいから」

なんだかんだ言いつつ流星の可愛さには勝てんくて、抱きしめるために腕を回そうとした。

大「誠也くん？」

でも、腕が上がらんかった。

ペットボトルを開けようとした時や、腕相撲をした時みたいに力の入れ方が分からんかった。

末「え、あごめん
やっぱ恥ずかしいわ、こんなとこで」

そう言って逃れようと思った。

でも表情が曇っていたのだろうか。

大「ちから、入らへんの？」

変わらないと思っていた流星は、俺が知るより遥かに鋭く大人になっていた。