夢幻 (ページ2)

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佐野side

今僕は楽屋に2人でいるんですけど、せーやくんの観察をしてます。

せーやくんが何してるかと言うとね、
ペットボトルのキャップを開けようとしてるんです。

でも開けられへんからキャップをギュッと握って、少し顔を赤くして頑張ってるんです。うちの最年長かわいいでしょ？

普段、正門くんが開けられんくて「何のための筋肉やねん！」ってみんなに突っ込まれることはあるんですけどね。
せーやくんのこの姿はちょっと新鮮なので、さっきから視線を感じてるけど無視してます笑

好きな子には意地悪をしたくなるって言うじゃないですか？
今までその気持ちが分からなかったんですけど最近分かるようになっちゃいました笑

あ、そんなこと考えてたら

末「さーのっ」

佐「なんですか？せーやくん」

末「これ」

佐「ん？」

末「水飲みたいねんけど」

佐「飲んだらええやないですか」

末「さの、開けてくれへんの？」

黒目がちな大きな目をきゅるきゅるさせて、かなり背の高い俺を見上げる瞳に吸い込まれてしまう。
俺、せーやくんのこの顔に弱いねん。笑

佐「うっ、、じゃあ、ゲーム！ゲームしましょ！
勝ったら僕がせーやくんのキャップ開けてあげます！」

末「なんでやねん笑
で、なにするん？」

んー、、あっ前にメンバーみんなでやった！

佐「腕相撲にしましょ！ほら、せーやくん早く手握ってください」

末「なんでなん、絶対開けてくれた方が早いやん笑」

なんだかんだ言いつつも、手に着けられた大きめのリングを外してからせーやくんが俺の手を優しく握る。

佐「じゃあ行くで！」

少し真剣な面持ちをしたせーやくんの顔をしっかりと見つめて

「レディーファイト！！！」

俺の掛け声を合図に、優しく握られたせーやくんの手に力が籠って試合が始まる。

はずだった。