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その時、ふと小瀧くんと目が合う。

小瀧くんは一瞬ニコッとして、また田中ちゃんに向き合う。

−『俺のこと、もう誘わないでくださいね?』−

あの日の小瀧くんの言葉が蘇る。




「うん!いこいこ!」




少し苛立った私は、勢いに任せて、大毅の誘いに返事した。




『ほんま?ならまた連絡するわ〜』




そう言って、大毅と別れた。

小瀧くんじゃなくたって、飲みに行く人くらいいるんだから!

小瀧くんだから特別、なんてことないんだから。

そう自分に何度も言い聞かせた。




「…ふぅ、おしまい。」




定時に仕事を終わらせ、帰る準備をする。

すると後ろから、声をかけられた。




『…夢子先輩』



「…小瀧くん」




久しぶりに小瀧くんに話しかけられて、思わずドキッとしてしまう。




『今日、昼に一緒にいた人って誰ですか』



「あー、大毅のこと?同期よ。」



『…飲みに行くんすか、その人と。』



「や、やだ、聞いてたの?」



『あの人、夢子先輩のこと狙ってますよ絶対。』



「な、なに言ってるの。大毅はただの同期よ?」



『…危ない気がします。あの人。』



「もー、いい加減に…」



「のぞむー!」




「いい加減にして」と言いかけると、小瀧くんの後ろから、田中ちゃんが呼んだ。




「ねー、望!みんなで飲みに行くから望も行くでしょ?」




そう言って、田中ちゃんは小瀧くんの腕に手を回す。




『ちょ、田中、行かへんって…』



「…なんだ、そっちも楽しそうにやってるじゃない。」



「…小瀧くんに心配される必要も、理由もないわ。」



「お疲れ様。」




そう言って私は、カバンを持って勢いよくオフィスを出た。




『ちょっ、夢子せんぱ、』



「ほーら、望!みんなに置いてかれちゃったじゃーん!」




小瀧くんが引き止めようとしてたけど、

田中ちゃんと仲よさそうなところを見たら

胸がモヤモヤして、涙が出そうで…

咄嗟に小瀧くんを突き放すような言葉を言ってしまった。

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作者名:mom | 作成日時:2018年7月23日 2時

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