だいすき。 (ページ27)

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◎ ページ27

『夢子先輩、お疲れ様です』

「ん、おつかれ。」

カチン、とグラスをぶつける。

ゴク…

「…っは～おいし」

私は疲れた時や、辛いことがあった時、

必ずここのバーに来る。

なぜかその時は、待ち伏せされているからか、

小瀧くんがいつもいる。

だから、私たちはよくこうやって飲みに来る。

『ふふ、夢子先輩が食べたり飲んだりしてるとこ見るの、俺好きです』

にこにこしながら小瀧くんが見てくる。

そんなに見られると流石に照れる。

「…なにそれ」

「べつにみんな一緒でしょ」

そう言って、もう一口お酒を飲む。

『違いますよ』

「え？」

となりにいる小瀧くんが、顔を覗き込んで

『全然違います！好きな人なんですから』

なんて真剣な顔して言うから、

思わず恥ずかしくなって意地をはってしまう。

「…もー、いいから。」

「ていうか、そもそも小瀧くんモテるんだから」

「そんなに私に執着しなくても、他に遊んでくれる人たくさんいるでしょ？」

『たしかにそうですけど』

いや、そこは否定しないんかい。

『…でも俺が他の人と仲良くしてたら』

『夢子先輩、嫌かな～って』

にやにやしながら小瀧くんがこちらを見る。

「訳わかんない」

『意地っ張りだな～』

『そんなとこも好きなんですけど』

『…夢子先輩、無理しがちだから』

『心配なんです』

不覚にもドキッとしてしまった。

そんな気持ちを誤魔化すように、

「そ、そんな心配ご無用です！」

と、顔を背ける。

『…じゃあ』

『なんで俺のこといつもこうやって誘ってくれるんですか？』

小瀧くんが試すような表情でこちらを見る。