◎ ページ21
それなのに…
お店を出ると、みっくん先輩に背中をさすられている大河内さんがいた。
大河内さんは、みっくん先輩にもたれかかるようにして座っている。
「…っ」
ヤキモチなんて焼く権利、私にはないけど
みっくん先輩のことが大好きすぎて
お似合いすぎる二人の親しそうな姿を見ると
胸が張り裂けそうで、我慢していた涙も堪えきれず流れる。
私は、二人に気付かれないようにお店から離れる。
「〜っう〜、よく頑張ったよ私っ、ぐずっ」
泣きながらふらふら歩く。
飲みすぎたのも本当で、足がおぼつかない。
『山田さんっ』
「?藤ヶ谷、せんぱ、」
ぎゅうっ
「い?」
『…こんな夜中に、そんなふらふらじゃ、危ないって』
「…ぐずっ、いや、私はっ大丈夫なんですっ」
酔いと悲しさで、藤ヶ谷先輩に本音をぶつけてしまう。
「ひっく、私はっ、犬、だから、大丈夫ですもんっ」
「……でももう、だめですっ…ぐずっ」
「っ犬だって、傷つくんですっ…!」
藤ヶ谷先輩にしがみついて、
うぇーんと子供のように泣きじゃくる。
藤ヶ谷先輩は、ずっときつく抱きしめて、
子供をあやすように、頭をポンポンしてくれる。
『…初対面でこんなこと言って、おかしいと思うかもしれないけど…』
『俺、山田さんのこと、放っておけない。』
『…北山にはなれないかもしれないけど…』
『山田さんの支えになりたいって思うよ』
少し体を離して、藤ヶ谷先輩に優しく見つめられる。
「…っ藤ヶ谷先輩…」
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作者名:mom | 作成日時:2018年7月23日 2時