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それなのに…

お店を出ると、みっくん先輩に背中をさすられている大河内さんがいた。

大河内さんは、みっくん先輩にもたれかかるようにして座っている。




「…っ」




ヤキモチなんて焼く権利、私にはないけど

みっくん先輩のことが大好きすぎて

お似合いすぎる二人の親しそうな姿を見ると

胸が張り裂けそうで、我慢していた涙も堪えきれず流れる。

私は、二人に気付かれないようにお店から離れる。




「〜っう〜、よく頑張ったよ私っ、ぐずっ」




泣きながらふらふら歩く。

飲みすぎたのも本当で、足がおぼつかない。




『山田さんっ』



「?藤ヶ谷、せんぱ、」




ぎゅうっ




「い?」



『…こんな夜中に、そんなふらふらじゃ、危ないって』



「…ぐずっ、いや、私はっ大丈夫なんですっ」




酔いと悲しさで、藤ヶ谷先輩に本音をぶつけてしまう。




「ひっく、私はっ、犬、だから、大丈夫ですもんっ」



「……でももう、だめですっ…ぐずっ」



「っ犬だって、傷つくんですっ…!」




藤ヶ谷先輩にしがみついて、

うぇーんと子供のように泣きじゃくる。

藤ヶ谷先輩は、ずっときつく抱きしめて、

子供をあやすように、頭をポンポンしてくれる。




『…初対面でこんなこと言って、おかしいと思うかもしれないけど…』



『俺、山田さんのこと、放っておけない。』



『…北山にはなれないかもしれないけど…』



『山田さんの支えになりたいって思うよ』




少し体を離して、藤ヶ谷先輩に優しく見つめられる。




「…っ藤ヶ谷先輩…」

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作者名:mom | 作成日時:2018年7月23日 2時

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