検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:8,935 hit

ページ26

でもその時は失恋真っ只中だった私は心配してくれた大毅をよそに、


「別に関係ないやん。ほっといてや。」


って素っ気なく返してしまった。


『おい、ほんまに怒るで。お前の母ちゃんも心配しとったんやで?!』


本気で心配してくれてたんだと思う。

けどその時の私には、大毅の言葉さえもイライラさせる要素になってしまってた。


「っるさいねん!!私は家に帰りたい気分ちゃうねん!!私の気持ちなんか知らんくせにっ…」


大毅の前で泣き叫んでしまった。


『…っとに』


そう言って大毅は近付いてきて、私に傘をさしてくれた。


『ほんましゃーない奴やな。んなら夢子の気ぃ済むまで俺もここおったろ。』


「はぁ?そんなんええよ別にっ。1人でおれるし1人で帰れる!」


『アホ、勘違いすんなや。夢子のためちゃうくて夢子の母ちゃんのためや。お前の母ちゃん、連絡も全然来ぉへんし帰って来ぉへんしで、パニックなっとったんやで。せやからしゃーなしに俺がここまで来たったんいうのにほんまお前は…』


「あーもう。わかったってば!お説教するなら先帰ってや?!」


ぺちっ


「いったぁ!」


大毅にデコピンされた。


『どんだけ心配かけとると思ってんねん…』


いつも毒舌でふざけてしかいない大毅が、急に切ない顔でそんなこと言うから、不覚にもドキッてした。


「……ごめん」



『…はぁ。どんだけイイ男に振られたんか知らんけど。浮気なんする奴のためにお前が風邪引くのもしょうに合わへんと思わんか?』


「……うん…」


『せやろ?ほんまにツラくて悔しいんやったらな、余裕あるええ女になってそいつ見返したらな。しょーもない男のために風邪引いとる場合ちゃうやろ?』


「…ぐずっ…うん。」


いつもふざけてばっかりで悪口しか言ってこないのに。

こういう時だけすごく優しい言葉をくれる。

調子狂うけど、1人でグズグズ泣いてるよりもスーッと心が軽くなった。


それからまたひたすら泣いて、

その間大毅は何も言わずにただただ隣にいてくれた。


「…大毅ごめん。もう大丈夫なった。帰ろ」


『ほんまか?』


「うん、ほんま。」


『ん、よっしゃ。ほんなら帰るで。』


そう言って、2人並んで家路についた。

◎→←超絶毒舌男。重岡くん



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:mom | 作成日時:2015年2月6日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。