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でもその時は失恋真っ只中だった私は心配してくれた大毅をよそに、
「別に関係ないやん。ほっといてや。」
って素っ気なく返してしまった。
『おい、ほんまに怒るで。お前の母ちゃんも心配しとったんやで?!』
本気で心配してくれてたんだと思う。
けどその時の私には、大毅の言葉さえもイライラさせる要素になってしまってた。
「っるさいねん!!私は家に帰りたい気分ちゃうねん!!私の気持ちなんか知らんくせにっ…」
大毅の前で泣き叫んでしまった。
『…っとに』
そう言って大毅は近付いてきて、私に傘をさしてくれた。
『ほんましゃーない奴やな。んなら夢子の気ぃ済むまで俺もここおったろ。』
「はぁ?そんなんええよ別にっ。1人でおれるし1人で帰れる!」
『アホ、勘違いすんなや。夢子のためちゃうくて夢子の母ちゃんのためや。お前の母ちゃん、連絡も全然来ぉへんし帰って来ぉへんしで、パニックなっとったんやで。せやからしゃーなしに俺がここまで来たったんいうのにほんまお前は…』
「あーもう。わかったってば!お説教するなら先帰ってや?!」
ぺちっ
「いったぁ!」
大毅にデコピンされた。
『どんだけ心配かけとると思ってんねん…』
いつも毒舌でふざけてしかいない大毅が、急に切ない顔でそんなこと言うから、不覚にもドキッてした。
「……ごめん」
『…はぁ。どんだけイイ男に振られたんか知らんけど。浮気なんする奴のためにお前が風邪引くのもしょうに合わへんと思わんか?』
「……うん…」
『せやろ?ほんまにツラくて悔しいんやったらな、余裕あるええ女になってそいつ見返したらな。しょーもない男のために風邪引いとる場合ちゃうやろ?』
「…ぐずっ…うん。」
いつもふざけてばっかりで悪口しか言ってこないのに。
こういう時だけすごく優しい言葉をくれる。
調子狂うけど、1人でグズグズ泣いてるよりもスーッと心が軽くなった。
それからまたひたすら泣いて、
その間大毅は何も言わずにただただ隣にいてくれた。
「…大毅ごめん。もう大丈夫なった。帰ろ」
『ほんまか?』
「うん、ほんま。」
『ん、よっしゃ。ほんなら帰るで。』
そう言って、2人並んで家路についた。
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作者名:mom | 作成日時:2015年2月6日 6時