◯ ページ8
.
大「ほんと珍しい性格してるよな。俺にもビビらねえし」
涼「だって大ちゃん耳生えてるだけの普通の人じゃん。
俺が聞かされてた狼像は、大きな耳としゃがれた声とどんよりとした色の体毛だったし。大ちゃんは犬っぽい」
大「犬っ!?おい、俺は狼だ」
って本人は言うけどさ。
大ちゃんと俺、身長同じくらいだし、大ちゃんは童顔だし、あまり怖くない。
涼「…よしっ、こんなもんかな。手伝ってくれてありがとう大ちゃん」
大「いっぱい採ったなあ」
涼「こっちのカゴは伊野尾ちゃんにあげる分。
今から伊野尾ちゃんのお家行くけど大ちゃんも行く?」
大「行く!」
大ちゃんに籠を1つ持ってもらい、並んで歩く。
伊野尾ちゃんのお家は国の中心から離れたところにある。
舗装されていない道を歩くのはちょっと大変。
道の両端に背の高さくらいある草が生い茂っていて。
たまにカサって音がなると心臓が跳ねる。
涼「…あれ、大ちゃん。なんかあそこに倒れてる人いるよ」
大「んあ?本当だ」
俺たちが進む先にある木の根元に、人が倒れていた。
俺より先に動いたのは大ちゃん。
小走りに近寄って、倒れている人に声を掛けた。
大「おい、大丈夫かあんた」
「…うぅ…ん、…すみませ…ちょっと、貧血で…」
身体を起こして木にもたれ掛けさせると見えた顔色は真っ青で。
涼「大ちゃん、俺お水とか持ってるよ」
大「さんきゅ。ほら、これ飲みなよ」
大ちゃんが体を支えて口元に水を持っていくと、一気に飲み干した。
貧血って、クラクラするんだよね。
えっと、ええっと…ごめん、俺知識無いから何したらいいか分かんないや。
涼「ごめん大ちゃん。俺何かすることある?」
大「大丈夫だよ。貧血は大抵休んでればおさまるから」
そうなんだ。大ちゃん冷静ですごいなあ。
「うぅ……すみません…ご迷惑を、」
暫くすると、貧血も収まったのかそっと目を開けた。
「…っうわあ!」
涼「え、大丈夫?」
「おっ、おぉおおお狼!?」
目を開けて真っ先に見たのは大ちゃんのことだろう。
大ちゃんの頭にある大きな耳は狼族の証。
せっかく顔色が戻ったのに元通り通り越して真っ青になった。
202人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アイノア・リカ | 作成日時:2022年1月16日 12時