物語キーマンは苦労人 ページ7
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涼「ふんふんふ〜ん」
「おーい、何してんだ?」
涼「あ、大ちゃーん!」
突然だがお友達を紹介しよう。
え?伊野尾ちゃん?違う違う。
彼はウチと犬猿の仲である狼族の家系の子、大ちゃんだ。
そう狼。赤ずきんのおばあちゃんを食べた狼。
ちなみにこの家系の狼はヤギも食べた事があるらしい。
書籍『狼と7匹の子やぎ』に登場していた。
ヴィランが出てくるおとぎ話で魔法使いの次に多いのが狼だ。
物語では、魔法使いが間接的に英雄を追い詰めていて、狼は物理的に追い詰めてくる。
だからなのか、小さい頃は怒り文句で「狼に食べられるよ」なんて言われていた。
俺は元々狼に偏見なんて持っていなかったし、向こうも自分がヴィランだとか俺が赤ずきんの家系だとか気にしていなかったのもあって。
大ちゃんと出会ってすぐに仲良くなった。
涼「木苺!ジャムにしようかなって思って集めてた」
大「へえ!なあ、出来上がったら俺にも分けてよ!手伝うからさ!」
涼「いいよー」
大ちゃんは凄く良い人。
それに底抜けに明るい。
狼族って元々力が強いんだけど、木苺を潰さないようにそっと摘んで籠に入れてくれている。
物凄く器用で繊細なんだ。
大「そういやお前が窃盗犯を捕まえたって話聞いたんだけど、また何かやらかしたの?」
涼「あー、あれね。本当は俺が泥棒になろうと思ってたんだけど、たまたまターゲットの人が泥棒だったって感じで…」
思い出しても泣けてくるぜ。
ちなみに、被害者のアダム一家からは欠けたティーカップを貰った。
何故欠けているのを渡してきたのかは謎である。
大「お前、また伊野ちゃんの入知恵だな?」
涼「そうだけど、伊野尾ちゃんはアドバイスくれただけ。
あーあ!後少しで盗めたのになぁ!」
大「普通に生活してりゃいいのに。何でそんなにもヴィランになりたいんだよお前は」
涼「かっこいいじゃん!自分のやりたい事は自分で決める!って感じが!」
あとは単純に悪役といえば黒色!というイメージが羨ましい。
俺なんて赤い頭巾だよ?ポンチョみたいなやつだよ?ポンチョは絶対に着ないけどさ。
親からは赤いパーカーを着ろとか言われるしさ。
黒のマントを羽織りたいんだ俺は。
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作者名:アイノア・リカ | 作成日時:2022年1月16日 12時