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涼「う〜っ、俺はヴィランになりたいのにぃ。
よく分かんないけど成り行きでヒーローになっちゃったじゃんかぁ！」
伊「ははっ、まあ、今回は失敗ってことで。
次頑張ろーじゃねえの。協力してやっからさ」
涼「…いつになったら成功出来るんだろ。
この間の入門編�い蘯最圓靴舛磴辰燭掘�
伊「まあ英雄の血を引く奴らは所詮、生粋の英雄って訳で。
物語の主人公さながらに自然と愛されちゃうん だよなぁ、これが。魔法でもなんでもないのに不思議だよねぇ。
もはや呪いの類いなんじゃねえの？」
涼「…やだ。俺はヴィランになりたいんだもん」
英雄って言われても俺の先祖赤ずきんは、自分の代わりにおばあちゃんを助けてくれる人を呼んで来ただけだよ？
現代にだって、悪いことをしている人を見つけたら自分から介入するより警備兵を呼んで来る人が大半じゃん。
赤ずきんがやったことって常識の範囲内の事じゃん。
伊「ほら〜めげずに頑張ろうぜ。
何だっけ？『信じる心があれば夢は叶う』だっけ？」
涼「それは英雄が持つ心だもん！俺はヴィランになるから無効だよ！
ヴィランにはそういうおまじないみたいなの無いの？」
伊「んー…ヴィランは元々の能力値が高いからなぁ。
『欲しい物は力ずくで奪え』とか『己の強さを信じて全てを支配しろ』とかそういうのは云われてきてるよ？」
涼「うわぁ悪…」
伊「それがヴィランだからね。地頭が良いのに、語彙力は皆無だから」
………はあ。
ため息も吐きたくなるもんだ。
俺がヴィランになれる日は来るのだろうか。
欲しい物は力ずくで奪え…か。
何となく自分の二の腕を触ってみる。
…うん、筋トレから始めようかな。
なんだか遠い道のりになりそうな気配に、俺はまたため息を吐いた。
隣を歩く伊野尾ちゃんは楽しそうにお菓子を食べている。
こんな能天気な伊野尾ちゃんですらヴィランの子孫なのに。どうしてこうも違うのか。
俺は、主人公や英雄になりたいんじゃない。
最高のヴィランになりたいんだ！
第一話【将来の夢はヴィラン！】完
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作者名：アイノア・リカ
| 作成日時：2022年1月16日 12時
