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伊野尾ちゃんも、ヴィランの中で最も最強なのはマレフィセントだと言っていたことを思い出した。
「俺の素性はどうでもいい。警察っていう丁度いい権力を手に入れたからな。
俺の事は、“宏太”とでも呼んでくれ」
涼「名前じゃないの?」
宏「名前はあっても無いに等しい」
大「よろしくな!宏太!」
伊「大ちゃん馴れ馴れしい!」
大「いっでえ!?」
珍しく伊野尾ちゃんのゲンコツが大ちゃんの脳天にくらった。
大「……いってぇ……宏太さん、よろしくお願いシマス…」
宏「ははっ、呼び方はなんでもいい。よろしく。
大ちゃん、涼介、伊野尾」
涼「えっ、名前…、」
宏「君らがそう呼びあっていただろ?」
涼「洞察力すご」
宏「警察だからな」
宏太さんは目を三日月に細めて笑った。
これが初めてみた笑顔だった。
警察として出会った時は威圧感があって少し怖かったのを覚えている。
今、目の前で見た笑顔はとても柔らかい笑みだった。
だけどそれもほんの一瞬で。
すぐに目つきが変わった。
宏「ふむ。そろそろ帰らなければならない。
君たち、俺の素性については他言無用で頼む」
涼「あ…はい」
伊「はいはいはい!交換条件!俺のことも他言無用で頼む!」
元気よく挙手をした伊野尾ちゃん。
こんなアホっぽいのに頭はよく回るから、最後に抜かりなくお願いしている。
宏「魔女については騎士の仕事だ、俺は与えられた仕事以外遂行しない主義だ。
街に降りれば俺は警察の任に就く。目立つ行動だけはするな、とだけ言っておくよ」
宏太さんは指を鳴らした。
無詠唱なのに見る見るうちに宏太さんの姿が霧に隠れるようにぼやけていき、風と共にあっという間に姿を消した。
風によって舞った花びらが、雨のように降り注いだ。
涼「無詠唱だ…」
伊「かっ…けぇぇえええ!!さすがマレフィセント!の末裔!力まで受け継いでんの!?えー!すげぇえ!」
テンション高いなこの人。
伊「だってマレフィセントだよ!?最強にして最高のヴィラン!」
涼「はいはい分かったから落ち着いてよ」
鼻息かかるレベルに近づいて話す伊野尾ちゃん。
さっきの怖い雰囲気も、こんなにテンション高い姿も初めて見た。
少しすると興奮は冷めてきたものの、未だマレフィセントの数々の伝説について語っている伊野尾ちゃん。
俺はその話を聞きながら花かんむりを完成させた。
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作者名:アイノア・リカ | 作成日時:2022年1月16日 12時