it's A Whole World〜おとぎの国〜 (ページ39)

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知ってて俺に言わなかったのは、伊野尾ちゃんと俺が仲良くしているからだったりする？

えぇ…もしそうだったら裕翔は優しいし、伊野尾ちゃんはなんか色々と苦労してて波乱万丈な人生過ぎるよ。

「認識阻害か。だから国が血眼になって探していても見つからなかった訳だ」

頭上から聞こえてきた知らない声に心臓が飛び跳ねる。

大きな木の、太い枝に座ってこちらを見下ろす男がいた。

「ほう。赤ずきんにオオカミ、そして魔女か。こりゃ異質な集まりだな」

そう言って、木から飛び降りた男に俺は見覚えがあった。

涼「…警察のひと？」

街で伊野尾ちゃんとヴィラン入門編その⑤をやっていた時に、俺が鞄を盗んだ相手も実は窃盗犯だったことが分かって。それを捕まえる時に現場にいた警察だ。

「あぁ、あの時の子か。今制服着てないのによく分かったな」

ここで俺の中である方程式が出来上がった。

『警察+魔女＝逮捕』

伊野尾ちゃんは逃げ回っているって言ってたし、この人は警察だし、さっきなんか「だから見つからなかったのか」とか言っていたし。

見つからなかったのは伊野尾ちゃんのローブのお陰で、今はフードを外して顔全開だ。

伊「本当に警察？」

涼「(伊野尾ちゃん…！逃げる！？また瞬間移動とか使ってさ！)」

警察をまじまじと見つめる伊野尾ちゃんに小声で訴えてみたけど、俺の声は聞こえていないみたい。

捕まる前に逃げないと伊野尾ちゃんと遊べなくなっちゃうよ！

「そんな焦らなくても心配ない。魔女については騎士団の仕事だ。俺は関係ない」

俺の焦りが通じたのか、警察は俺の頭に手を置いた。

魔女のことは騎士団が…そうなんだ。

てことは伊野尾ちゃんは捕まらない？バレても問題ない？

良かったねと伊野尾ちゃんの顔を覗き込むと、
伊野尾ちゃんは警察に鋭い視線を向けていた。

涼「伊野尾ちゃん…？」

伊「涼ちゃん、離れた方がいいかも」

伊野尾ちゃんの手が肩に回って、後ろに引っ張られる。
状況を察した大ちゃんもすぐに後ろに回った。

大「どうしたんだ？」

伊野尾ちゃんの視線は警察に向いたまま。