The true story ページ33
.
「あらあら、ひと様の家を食べているのは誰?」
ヘンゼルがおばあさんに事情を話すと、おばあさんは気の毒に思って、ふたりを家の中にいれてくれました。
お菓子の家の中は外とまったく違います。うすぐらく、不気味でした。
ですがふたりは疲れ切っていて、そんなことを気にしている余裕はありませんでした。
その夜はおばあさんの家でぐっすりと眠りました。
朝、おいしそうな匂いにつられて目が覚めたふたりは驚きました。
家の中に、魔女の恰好をしたおばあさんがいました。
実は、おばあさんはお菓子の家で子どもを誘い込み、食べようとしている悪い魔女だったのです。
.
しかしその考えは杞憂に終わりました。
魔女のローブを被っていたおばあさんは、ふたりの足音に気付いてこちらを振り向きました。
するとなんということでしょう。
魔女はおばあさんではなく、綺麗な男の人だったのです。
「ああ、ごめんよ。初めましての人にはおばあさんの恰好で会うようにしているんだ」
男の人はそう言いました。
「それも魔法なの?」
ヘンゼルは聞きました。
魔女はニコリと笑い「そうだよ!」と得意げに頷きました。
3人で囲んだ食卓には、ヘンゼルの楽し気な声が響いていました。
ヘンゼルは魔女の使う魔法に大変興味を持ち、何度も何度も質問しています。
魔女は嫌がるそぶりを見せずに一つ一つ丁寧に答えていきます。
グレーテルはその様子が気に入りませんでした。
「このご飯おいしくないわ」
素直な性格の子。思った事をすぐ口にだしてしまいます。
「私はお菓子が食べたい。お菓子を出してちょうだい」
「お菓子は作らないと無いんだよ。自由に出せる魔法は練習中なんだ」
「外にたくさんお菓子があるじゃない。あれでいいの。お菓子を食べさせて」
グレーテルは外に出て、お菓子を食べ始めました。
ヘンゼルは魔女に謝りました。
魔女は気にしていない、いくらでも食べていい、それにいくらでもこの家にいてもいいと言ってくれました。
ヘンゼルはグレーテルがお菓子に夢中になっている間、魔女に魔法を教えてもらうことにしました。
男の人の使う魔法はどれも魅力的で、素晴らしいものでした。
202人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アイノア・リカ | 作成日時:2022年1月16日 12時