◯ ページ4
.
ターゲットとの距離は約50メートル。
後ろから早歩きで追いかけて徐々に距離を縮める。
真後ろに付いたにも関わらず、ターゲットは俺に気づかない。片手に持つ鞄に手を伸ばした俺は、体の向きを反転させすぐに走り出せる体勢を取った。
そして、ターゲットの鞄を奪い、一気に走った。
「あっ、おい！！！」
ひいいぃぃいいい！！やっぱ追いかけて来るよね！！？
しかも意外と速い！スタートダッシュは完璧に決められたのにターゲットの足が速くて開いた距離はすぐに縮まっていく。
た、助けて伊野尾ちゃん…！魔法とか、魔法とか魔法で！
「捕まえた！このガキ…！！」
あー！！捕まった！最悪だ！今日が俺の命日か！
俺の腕を捻り上げるターゲットは勿論怒っている。
一つ反論するとすれば、俺はガキじゃないということくらいだ。
だって盗んだの事実だもん、今の俺超悪人だもん。ターゲットにも捕まって、警察にも捕まって牢屋暮らし……、え、それはヤバい。
ヤバいヤバい。
涼「………あ、でもこれでヴィランに一歩近づける…？」
「何ごちゃごちゃ言ってんだよ！俺のバッグを返せ！」
涼「ひいっ、は、はい！あ！いや！
ここで返したら悪役じゃなくなる！嫌です！」
「はあ！？」
ターゲットと俺による鞄の引っ張り合いっこ。
力が強いし、体を仰け反って足に力を入れていないと体ごと持っていかれそうだ。
見物客も集まってきている。これじゃあ、俺がフードを被っていてもバレてしまう。
「おい！何の騒ぎだ！」
人混みをかき分けてやってきたのは、警察の人だった。
服を見れば誰もが一発で分かる。
「…ん？お前はどこかで…、」
「ちっ、どけ！」
警察がターゲットの顔を見たら、何故か首を傾げていた。
その様子にターゲットは鞄から手を離し、人を押し退けてこの場を去ろうとした。
突然手を離されたものだから重心を後ろに乗せていた俺は尻餅をつく。
「待て！ソイツを捕らえろ！」
他にも警察がいたようで、走り去ろうとしたターゲットはすぐに捕まった。
……え、あれ？
この状況で捕まるのって俺じゃないの…？
「大丈夫かい？」
涼「…はい、ありがとうございます？」
「すまないが、その持っている鞄を見せてくれないかい？」
見た目じゃ笑っているのに、目はまるで笑っていない警察の人。
それと、異様な威圧感に声が出なくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 202人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アイノア・リカ
| 作成日時：2022年1月16日 12時
